Eテレ売却?で問われる公共財としてのスポーツ。

年内最後の更新です。ということで、いささか真面目な話題を取り上げますが、これは典型的な「見出し詐欺」というやつですね…。

正確にはEテレのチャンネルを削減し、空いた周波数帯を電波オークションにかけるという主張なのですが、それがEテレのコンテンツごと売却すると混同され、釣られる人が続出してしまいました。

公共放送NHKのあり方についてはさまざまな議論があって然りなのですが、当ブログ的な視点としては、スポーツが公共財のひとつとして理解を得られるのか。こういう議論を見るたびに不安になるのです。
Eテレの優れたコンテンツはネット配信に回せばいいという意見なのですが、これはある意味痛烈な皮肉であって、NHKのネット配信への進出には民放側が「民業圧迫」だと強く反対してきた経緯があるわけです。

ようやく最近になって「NHKプラス」が始まりましたが、ネットとの同時配信は目新しいものではありません。民放としては全国同時に流されては地方局の存在意義が薄れるという危機感もあります。

それでも世の中の流れには逆らえず、民放でもネット配信との共存を懸命に模索しているのが現在の状況です。
ここでは電波オークションの対象を携帯電話業者としていますが、もし民放局に割り当てられている電波も対象となればその危機感はとんでもないわけで、そこまで見据えた上で牽制球を放っているとみるべきなのでしょう。

スポーツの文脈で言えば、NHKが多額の放映権を支払っている競技に対して厳しい視線が向けられることは避けられません。オリンピックにFIFAワールドカップ、大相撲、MLBあたりはとくにやり玉にあがるでしょう。

民放に任せられるものは民放へ、というのが原則ではありますが、ご存知の通りオリンピックやFIFAワールドカップの放映権はNHKと民放が共同出資するジャパンコンソーシアムが購入しているわけで、民放だけでペイできるレベルではありません。

放映権料の高騰はいつかは止まるはずですが、こういった議論の過程においては、いったん放送がなくなるという事態も想定しておいたほうがいいかもしれません。いま欧州CLで起こっている事態は他でも充分起こり得ます。

スポーツは公共財であり、国民が注目する大会については無料で視聴できるようにすべき、という考え方がユニバーサル・アクセス権であり、当ブログでも何度か取り上げていますが、NHKのあり方を問う中でこの考え方を導入しないと、大半のスポーツが有料化されるか、観られなくなるという未来が待っているかもしれません。

もちろんNHKには民放ではとてもペイできない競技の放送も期待してますし、Eテレであれば囲碁・将棋もあります。文化としてのスポーツを育成する役割もまた求められるでしょう。

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