NHK×日テレコラボ「スポーツのチカラ」

この記事は9月22日、午前10時30分から両局で同時に生放送された番組の感想です。

放送の歴史を紐解くと、NHKがテレビ方法を開始したのは1953年2月1日。半年後の8月28日には日本テレビが開局します。
民放テレビ局が実現できたのは、ひとえにあの正力松太郎氏の政治力であります。

そしてテレビ普及のために仕掛けられたのがあの「街頭テレビ」です。
街頭テレビの目玉コンテンツといえば、力道山のプロレスと巨人戦。テレビとスポーツ中継の歴史はここから始まりました。
先日、ラグビーワールドカップの放映権をNHK・日テレ・JSPORTSの3局が獲得したことが正式に発表されましたが、このコラボ番組自体がある意味ネタバレだったわけです。

でも、なぜこの時間帯なのか?なぜ1時間枠なのか?
この内容ならゴールデンタイムで2時間枠でも充分通用するはず。日テレでは7時から「世界一受けたい授業」の2時間スペシャルだったので、この枠をどかせばくりぃむしちゅーもそのまま起用できた。

図らずも番組の最後に「視聴率は足して2で割るの?」なんて言葉が流れてきたんだけど、まぁ視聴率の要素は大きいでしょうね。
おそらくNHKのほうが数字が高くなりそうだし、ゴールデンが好調で、逆に全日では追い上げを受けている日テレにとってはゴールデンを避けたかったのでは…と。
でも、これだけ凝ったコンテンツを用意したわけだし、本当にラグビーワールドカップを盛り上げたいと考えているのであれば、あまりにも物足りないとしか言いようがないです。

さて、当ブログ的には放映権というよりも、どこが映像を制作し、誰が著作権を管理しているのかが興味ポイントでした。

昔のコンテンツであればテレビ局が自ら制作し、著作権も持っているのである意味使い放題だけど、最近は大会主催者側が著作権を持つケースが増えてきました。この番組だとWBCの映像にはコピーライトのテロップが入ってましたね。オリンピックについては見逃しちゃいましたが、確実に何かしらの制限事項があるはずです。

そして映像制作も主催者側が選定した企業が請け負うケースが増えてきてます。この番組では世界陸上のエピソードを取り上げてましたけど、この当時であれば国際大会については開催国のテレビ局が映像を制作して海外に配信するのがごく普通だったわけです。でも最近は流れが変わってきているのですね。

例えばJリーグは映像制作と著作権管理をともに自ら行う体制に切り替えました。DAZNに売ったのはインターネットの配信権だけです。こうすることによって、過去の映像アーカイブが整理され、利用が簡単になりました。
それ以前は個々の映像についてまず権利者を探し出し、そのうえで個別交渉する必要があったわけです。
手続きが簡素化され、料金表も統一されたことで、地方の小さな企業でも手軽にJリーグの映像を利用できるようになったのは、地域密着の理念に沿った施策だと言えます。
逆に言えばDAZNがこの条件をのんだこともすごいわけで、その裏では相当タフな交渉が行われたと伝えられています。

で、来年のラグビーワールドカップですが、NHKと日テレが国際映像を作るのか。むしろ作らない可能性のほうが高い気も。その場合、両局(およびJSPORTS)は提供された国際映像と自ら撮影した画像を組み合わせて番組を制作することになります。

そして、再来年の東京五輪では、日本のテレビ局が国際映像を制作することはほとんどなくなるでしょう。単純に種目数が多すぎるということもありますが、海外から多数のテレビクルーがやってきて、厳しくクオリティが管理された映像が全世界に配信されることになるはずです。

ということで、今回の放送は私にとってNHKと日テレが蓄積してきたアーカイブの強さとともに、これからの時代の変化を再認識させられる番組となりました。

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