スポーツメディアに関する国際調査

アメリカの戦略コンサルティング会社、アルトマン・ソロンが昨年実施した「2023グローバル・スポーツメディア調査」は、世界8か国で計2,500人の消費者と150人以上の業界関係者を対象にした大規模なものです。残念ながら日本は対象に含まれていませんが、抱えている課題は共通と言えます。

消費者側への調査結果からは、「もっとスポーツコンテンツを見たい」と答える人が多い一方で「どこで見られるかが分からない」「料金がかかりすぎる」といった悩みを抱えていることが分かります。まぁ、その通りですよねとしか言いようがありません。


アルトマン・ソロン社はこれらの問題の改善策として、業界関係者(上級管理職以上)から聴取した意見をもとに以下のことを提言しています。


  • 権利のシェア。独占ではなく見たいメディアを選べる「コンテンツの民主化」
  • コンテンツをどこで視聴できるかのガイドを充実させる
  • プロモーションの改善。プッシュ通知などを有効活用し、コンテンツの存在を知らせる
  • 料金設定をよりフレキシブルに。


最初の「権利のシェア」についてですが、関係者からは逆に「コンテンツを1か所に集中させる」という回答が多かったとのこと。つまり、激しい競争に打ち勝てば自然と寡占状態が生まれるということになるのですが、消費者からしてみればいつまで競争が続くのか。そして寡占化したところで料金が上がってしまうのでは、という懸念は強いものと思われます。

年間数百ドルを費やすのを厭わないファンもいる一方で、そこまで熱心には視聴していないファンもいます。露出の確保や、ファンの裾野を広げるといったことはこれまでも盛んに言われていますが、無料で視聴できる機会を作ることは当然必要であり、今後はFASTなどが広がっていくでしょう。


また、新たに獲得したファンをさらに消費させるために、従来のサブスクやPPVといった形にとらわれない課金方法も模索されることになります。NFTのブームは一時的なものに終わりましたが、ゲーム性を持たせたコンテンツでアイテム等を購入させるといったやり方はまた姿を変えていろいろと出てくるでしょう。


放映権の取引については、従来のサイクルが長期化し、またグローバルでの販売も広がっていくものと考えられます。MLSがAppleと結んだグローバルを対象とした10年契約(総額25億ドル)については、その先駆けと解釈されているようです。


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