叡王戦を創設したニコニコの功績【祈早期復旧】
サイバー攻撃を受けてサービス停止に追い込まれた「ニコニコ動画」。復旧にはしばらく時間がかかるとのことで、早期復旧を願うばかりです。
ニコニコ動画はこれまで多くのカルチャーを生み出すことに貢献してきましたが、当ブログ的には将棋の中継を力を入れていたことを思い出します。AIと対決する「電王戦」を創設し、後に8番目のタイトルとなった「叡王戦」に発展します。
「AERA」に連載している将棋ライター・松本博文氏もその功績について寄稿しています。もっとも、現在叡王戦を中継しているのはABEMAであり、ABEMAと関係が深い朝日系のメディアにこの記事が載るというのもちょっとした皮肉ではあります。
ニコニコの運営会社・ドワンゴの経営方針の変化により、ドワンゴは叡王戦の主催から撤退、現在は不二家が主催となっています。また、将棋の中継も大幅に縮小し、現在は年数回の企画が配信されるのみとなっています。
その一方で新たに参入したABEMAは、デビュー直後の藤井聡太四段を起用した「炎の七番勝負」が当たり、現在は将棋中継の中心的存在となりました。
ABEMAが将棋チャンネルを開設した背景には、当時日本将棋連盟の常務理事だった鈴木大介九段が、麻雀仲間だったサイバーエージェント・藤田晋社長に働きかけたことがきっかけとなっています。鈴木九段は理事退任後、プロ雀士となり「二刀流」として活躍。Mリーグへの参戦も果たし、ABEMAに大きな恩返しをする形となっています。
先日開催された第9期叡王戦では、挑戦者の伊藤匠七段が藤井聡太叡王を3勝2敗で破り、初タイトルを獲得。藤井叡王は初めてタイトルを失冠し、八冠から七冠に後退しました。
八冠を独占した以上、いつかその日は来るわけですが、予想以上に早かったという印象で、伊藤新叡王の急成長ぶりには目を見張るものがあります。その舞台がもっとも新しいタイトル戦である叡王戦だったことも、歴史的な因縁を感じます。
長時間にわたる対局を完全生中継。AIによる評価値の導入。そして視聴者と解説者による双方向のやりとり。将棋中継というジャンルを確立させ、また「観る将」と呼ばれるファン層を生み出したニコニコの功績を改めて嚙みしめたいと思います。
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