【続報】NFL敗訴でなにが起こるのか。
先日速報でお伝えした通り、「NFLサンデーチケット」をめぐる訴訟でカリフォルニア州の裁判所がNFLの独占禁止法違反を認める判決を下しました。損害賠償額は、一般契約者に対して47億ドル、法人契約者に対して9,600万ドルにのぼります。
対象者は2011年6月~2023年2月のあいだに契約していた人で、一般契約者は約240万人、法人契約者は48,000人が対象となっています。一人当たり約2,000ドルとなりますが、実際は契約期間などを加味して配分されるものと考えられます。
もちろん、この判決は確定したものではありません。まず7月31日を期限とした事後申し立てがあり、却下されればNFL側が控訴する形となります。連邦最高裁判所までもつれ込めば、あと数年かかることになるでしょう。
さて、最終的な判決を待たずとも、今後何かしらの変化が生じることは充分にあり得ます。まず考えられるのが「特定のチームの試合のみを観戦できるプラン」の提供です。
MLBのストリーミングサービス「MLB.TV」では、全チームを視聴できるプランが年間119.99ドル、特定のチームのみを視聴できるプランが104.99ドルとなっています。
また、NBAの「NBA League Pass」では、全チームが月額14.99ドル、特定チームが13.99ドルとなっています。まぁ、どちらもあまり安くなってないとも言えますが・・・
次に考えられるのが、サンデーチケット全体の値下げです。現在はYouTubeが年間349ドル~の価格で提供していますが、いくらアメリカの物価が高いとはいえ、かなりの負担であることは間違いないでしょう。その場合、年間20億ドルと言われる放映権料についても当然見直さざるを得なくなります。
ディレクTVからYouTubeに契約が移動する際、AppleやAmazon、ESPNとも交渉が行われていましたが、とくにESPNは料金を下げたい意向を持っていたとされます。しかし、契約の条件に「プレミアム価格で提供する」という項目が含まれていたために却下されたと報じられています。
これはローカル放映権を持つCBSとFOXを保護するのが目的とされています。MLBやNBAはローカル放映権を各球団に持たせているため、ストリーミングでは地元の試合をブロックしています。それに対して、NFLはローカルも含めて一括管理していることからブロックは馴染まないと考えているようです。なお、全米向けに中継される試合は最初からライブ配信されていません。
将来的にNFLもローカル放映権を各球団に持たせるということは考えづらく、地元向けにブロックをかける代わりに若干の値下げを行うといった形が現実的にも見えますが、それでも既存の契約内容を書き換える必要があるでしょうから、そう簡単に決着するとも思えません。
独占によって放映権料をつり上げる手法は、NFLに限らずさまざまなスポーツで成功を収めてきましたが、当然それによる歪みも大きく、司法の判断によって修正が入るのは望まれることです。ファンに向き合った形で解決が図られることを望みます。
日本を含む海外については、今回の訴訟の対象とはなっていません。昨シーズンからDAZNがグローバルで「NFL Game Pass」の販売権を獲得しましたが、こちらについては変わらないものと推定されます。
日本では年間26,800円で提供されましたが、今年8月からは円安の影響により28,800円に改定されることが明らかとなっています。こちらも今後さらに高くなっていくのであれば、同様に新たなプランが提供されることを期待したいですが・・・。そうなると10年契約で計10億ドルとされる契約にもメスを入れざるを得ません。
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