タダ券で自由研究?Jリーグとベネッセが提携。
ベネッセコーポレーションは、Jリーグとのコラボで「Jリーグ×自由研究」というWebサイトを開設しました。この夏休み、Jリーグが全国で合計18万人を無料招待することに連動し、自由研究のテーマとしてJリーグを活用してもらえるよう、テンプレートなどを提供しています。
昨年からJリーグは積極的に無料招待のキャンペーンを実施しています。いわゆる「タダ券バラマキ」として時には批判の対象とされることもありますが、その狙いはどこにあるのでしょうか。
タダ券のメリットとしては、「未来への種蒔きにつながる」「チケットはタダでもグッズや飲食の収入が期待できる」などがあります。一方、デメリットとしては「一見さんはなかなか定着しない」「お金を払って来ている人と不公平」といったものがあります。
どちらが正しいというわけではなく、効果測定を行いながらバランスをとることが大切です。ただ闇雲にばらまくだけであれば、麻薬のようにだんだんやめられなくなっていきます。
タダ券で有名な例はアルビレックス新潟でしょう。2001年、ワールドカップの会場としてビッグスワンが完成したこともあり、サッカー不毛の地・新潟で人気を根付かせるべくばらまき作戦を実行しました。逆にファジアーノ岡山など「タダ券を配らない」という方針を掲げて運営してきたクラブもあります。
ただ、これらはいささか古い事例であり、現在は「タダ券2.0」に進化していると言えます。そのきっかけとなったのは、2017年に導入された「JリーグID」です。JリーグIDによって、マーケティングに必要なデータを収集できるようになりました。Jリーグが統一したIDを管理することで、そのノウハウは全国のクラブに共有されることになります。
2019年には過去最高となる1,140万人の入場者数を記録しましたが、翌2020年にコロナ禍が発生。大幅に落ち込んだ入場者数を取り戻そうと、昨年(2023年)からJリーグ主導で無料招待企画が始まります。従来はタダ券を配ってもほとんどが既存のファンだったそうですが、ID登録を必須とし、またペアチケットにすることで既存のファンが新規顧客を誘う流れを促しました。
40万人を招待し、うち30万人が実際に入場。24万人が新たにJリーグIDを登録するなどの成果をあげています。昨年の入場者数は1,096万人となり、コロナ禍前の水準をほぼ回復。今年は過去最高の更新をめざしています。
今回のJリーグの招待企画についてはクラブの任意参加となっていますが、現在はタダ券をやめている新潟も、これまで配ってこなかった岡山も参加していることから、この施策に対する期待が見えてきます。
今シーズン、Jリーグが制作しているCMの映像もターゲットを明確にして、結構攻めているように見えます。これまで蓄積してきたデータに基づいてターゲットを設定していることがわかります。こういった種蒔きは、5年後、10年後の未来に収穫されるはずです。
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