卓球WTTツアー、高額の映像使用料を請求か。

パリ五輪の開幕まで1週間を切りましたが、事前の盛り上がりがさほど見られないようにも感じます。といっても、ほとんどは東京五輪の反動と言ってよいかと思います。実際には8年前のリオ五輪と比較するべきなのでしょう。もっとも、この8年の間でネットでの視聴習慣がかなりついてきましたので、その影響は大きいかと思います。


ということで、遅ればせながらそろそろ五輪関連の報道が増えてくる頃です。FRIDAYデジタルによると、卓球のツアーであるWTT(World Table Tennis)について、放映権を管轄しているIMGが日本のテレビ局に対し「1分間あたり約40万円」の映像使用料を請求しており、報道に苦慮しているとのこと。

で、この記事でもそうなんですけど「放映権料」と「映像使用料」という言葉がごっちゃにされてるのがこの問題を分かりにくくしています。WTTの放映権を管理しているのがIMGであることは、この記事でも触れられている通りです。

IMGを通じて日本での放映権を購入しているのはテレビ東京であり、2024年末まで契約しています。つまり今年までなので、来年以降はまた交渉が大変そうだな・・・と感じますが、話がそれるので今回は割愛。


テレビ東京はIMGとの契約によって生中継やハイライト、そして過去のアーカイブ映像などの権利を得ているわけですが、それ以外のテレビ局についてはスポットで映像を使用することになります。その時の料金が「1分40万円」というわけですね。

よく「放映権料が高いのでテレビで報道されない」といった批判がなされることがあるのですが、この批判は2つの意味で正しくありません。ひとつは放映権料と映像使用料は別であること。そして、もうひとつは放映権料が高いからといって映像使用料も高いとは限らないということです。


Jリーグの例は何度も引き合いに出していますが、一定の時間内であれば無料で映像を使える規程を設けています。他にも、国内のスポーツであれば映像を融通しあう仕組みが作られているため、同様に既定の時間内であれば映像を使用できます。


しかし、海外のスポーツだとこの枠組みが適用されず、映像使用料が請求されるケースがあります。MLBは民放各局と包括的な契約を結んでいることが明らかとなっています。プレミアリーグも請求しているという説がありますが、具体的な金額は分かっていません。

正直「1分40万円」という記事が本当であれば、実に高いとしか言いようがありません。テレビ東京が支払っている放映権料はさすがにここまでの水準にはないでしょう。放映権料よりも映像使用料がさらに高いという、ある意味珍しいケースです。


IMG側としたら、放映権を持っているテレビ東京を優遇したという解釈なのかもしれませんが、日本の慣習には合っていません。ましてやオリンピックの放映権はジャパンコンソーシアムを通じてNHKと民放が共有しているわけですから、各局が使えるような仕組みが必要でしょう。


もちろん、海外の目からすれば、日本の慣習のほうが特異に映っている可能性はあります。ただ、地上波での露出がその競技の人気を左右するということは理解してもらいたいものです。もし、テレビ東京が来年以降もWTTの放映権を獲得する意向があるならば、放映権料だけでなく、この仕組みについても交渉材料に入れたほうがよいのでは・・・と思います。

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