電通とIAAFの契約書を斜め読みしてみた

以前も紹介した通り、雑誌「FACTA」のWebサイトが国際陸連(IAAF)と電通が結んだ契約書とされるPDFファイルを無料で公開しております。
最近話題の東京五輪誘致について、当時のIAAF会長でIOC委員でもあるディアック氏の息子が経営するコンサルティング会社にお金が流れたということと、あとは例によって電通が~というのが公開の背景らしい。
といっても当ブログ的には契約書の中身そのものに興味津々なので、FACTAさんの意図とは関係なくPDFを読ませていただきました。電通も世界の放映権ビジネスにおいては決してビッグプレイヤーではないので、巨大組織・電通の陰謀!といったシナリオにはいまいち乗り切れず。

とは言っても78ページという長さと、契約書ならではの難解さで正直めげました。なので今回は斜め読みということで勘弁してください。
公開された文書は4通に分かれていて、1通は上記プレスリリースにもある通り、世界陸上を初めとしたIAAF主催の国際大会について、2010~2019年の契約を記したもの。もう1通はそれを2029年まで延長するもの。残り2通は契約期間中に行われた修正です。

内容も当たり前ですがプレスリリースの通りで、全世界におけるマーケティング権とEBU(欧州放送連合)加盟地域を除く放映権を電通が獲得したわけですが、実は放映権については「日本」も除外されてまして。
おそらくこの契約以前から電通を経由してTBSが放映権を購入しているので外したのかな?と推測してます。TBSの放映権は2019年までの契約で、すなわち今年で切れるのですが、おそらく同様に延長されるものと推測されます。

金額は最低保証金として1.8億ドル。それ以上の利益が出た場合は電通が6、IAAFが4の割合でシェアするとのこと。他の大会も含まるとはいえ、費用の大部分は世界陸上に関するもの。世界陸上5回分と考えると1回あたり40億円くらいの計算でしょうか。当時としてはそこまで高いという印象はないです。
(2020年からの契約では2.2億ドルに改定されてますが…もっと上がってもよさそうな)

TBS的には今年5月に横浜で「世界リレー」が開催されるという好材料あり。本来はバハマで開催される予定だったものが棚ぼたで代替開催に。これは見たいですよね。
で、どうしても気になる記述があるのですが、それは「日本での世界陸上開催」という項目(10.2.11)。契約期間内に日本で世界陸上を開催すると書かれています。)
実際には2007年の大阪を最後に日本では開催されてないのですが、立候補制で決まるはずの開催地についてこんな記載があるということのほうが実はスキャンダルなのではないかと思ったり。

まぁ東京五輪が決まってそれどころじゃない、という感じでしょうか。いちおう日本陸連が開催地を決めて立候補することが要件として入っていますが、そもそも立候補してませんし。
世界陸上の開催地は2021年まで決定済みですが、もし2029年までに日本で開催されることになったら、こりゃ何かあったな、と思ってください。それまで織田裕二さんは引退できませんね。

他にも報道などの用途で無償提供する映像に関する規定など、参考になる項目はいくつかあったのですが、またまとまった時間がとれたら英語の勉強も兼ねてじっくり読みたいなぁ…と思っております。
あとはIAAF公式のプレスリリースをいくつか貼り付けといて、本稿は終わりです。

↑2001-2009年

↑2010-2019年

↑2020-2029年

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