ラ・リーガの映像制作変更で、スト発生か。

ラ・リーガの来シーズン以降の映像制作について入札が実施され、従来担当していた地元スペインの代理店・Mediaproが落札に失敗したとのこと。


新たに落札したのは、スイスのHBS(Host Broadcast Services)です。Mediaproは20年以上にわたって制作を行ってきましたが、外国企業に移動することになります。なお、国際映像の伝送技術についてはスペインの大手通信会社・Telefonicaの関連会社が落札しました。両社とも、来シーズンから5年契約(2029-30シーズンまで)となります。

HBSはFIFAワールドカップの映像制作を2002年日韓大会から担当するなど、国際大会で実績を示しています。2026年の北中米大会も担当することが決まっています。


HBS社を設立したのは、ワールドカップの放映権を合同で販売していたISL(電通とアディダスの合弁)と、ドイツのキルヒメディアでした。この出来事がワールドカップの放映権料の高騰と、電通の放映権ビジネスの膨張に深く関わっているわけですが・・・それはおいといて。


その後ISLもキルヒメディアも破綻し、HBSは現在スイス資本と中国資本の合弁であるinfrontの傘下にあります。ですから、Mediaproとinfrontというヨーロッパにおける大きな代理店どうしがぶつかり合った出来事というわけですね。

Mediaproはこの決定に憤慨。入札プロセスについて「公正でも客観的でもない」と主張し、異議を申し立てる構えを示していましたが、その後急におとなしくなり、当初の声明を全面的に撤回しています。自分たちの主張は適切でも正確でもなかった、と平謝りムードです。


あまりの豹変ぶりに、裏でなにかあったのではないか・・・と疑ってしまいます。実際のところ、HBSもすべてを自前でまかなっているわけではなく、これまでもMediaproに下請けとして発注していた実績があるようです。名よりも実をとれる見込みが立ったのではないかと思われます。

しかし、黙っていられないのはMediaproの従業員たちです。現在約800人がラ・リーガの制作に携わっているそうですが、HBSは彼らに対して新たな雇用条件を提示していないとのこと。もしHBSが引き取らなければ、彼らは職を失うことになります。


従業員が所属する労働組合は、5月13日からストライキを予告しています。もし実行されれば、残り3節の中継にも支障が生じることになります。


【追記 5/14】

13日からのストは回避となり、第36節の映像は通常通りの体制で制作されることになりました。引き続き交渉が行われており、第37・38節については流動的です。

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