リーグ・アン続報。DAZNとの交渉期限延長へ。
たった1年でDAZNの撤退が決まった、リーグ・アンのフランス国内における放映権問題について情報をアップデートします。
なお、繰り返しになりますが、日本における放映権契約とは別の問題です。日本ではDAZNが代理店を通じて5年間の独占契約を結んでおり、いまのところは来シーズン以降も引き続き配信される予定です。もちろんフランスと同様に契約が途中で破棄される可能性はないとは言いませんが、その場合にはまた別の理由になるでしょう。
来シーズンからはリーグ・アンが自ら運営する「100%リーグ・アンチャンネル」(仮称)で試合が放送される予定であり、DAZNもチャンネルの供給を受ける形で引き続き試合を配信したいとの考えです。また、DAZNはチャンネルの運営にも関与したい意向で、今後2年間で総額1.1億ユーロを投資する用意があるとしています。
当初の報道では、DAZNは手切れ金として1億ユーロを支払うとされていましたが、最近の報道では8,500万ユーロと若干下がっています。もしDAZNがチャンネルの運営を行うのであれば、こちらの支払いはなくなることになります。
5月末までの決着をめざして交渉が続けられましたが、決着はつかず6月15日に再度期限が区切られています。いずれにせよ8月にはまたシーズンが始まるわけですから、早期決着が求められます。
DAZNとの交渉と並行して、映像制作業者の入札も始まりました。こちらはハイライトや、試合の前後に放送されるプレ/ポストゲームショーなどが対象となっています。試合自体の映像制作は対象となっていません。
放映権料は所属クラブへの配分金に直結します。先日の欧州CL決勝戦ではPSGが勝利し、リーグ・アンにとっても大きな喜びをもたらしましたが、中位以下のクラブは財政が圧迫されています。破綻寸前のクラブがいくつか存在するとも言われており、今後現実化する可能性も充分にあります。
このPSGの優勝について、2023-24シーズンからリーグ・アンが18クラブ制になったこと、そしてリーグカップを廃止したことによって過密日程が解消されたことを要因としてあげる見解も出ています。もちろんその通りではあるのですが、UEFAの大会に出場しないクラブにとっては単なる収入減だったりもします。
18クラブへの縮小案は圧倒的な賛成多数で決まったとのことですが、その背景としては他の欧州主要リーグに押されていることと、以前から放映権問題で揺れていることがあげられます。当時放映権を持っていたCanal+は強く18クラブ制を推していたとのことで、同じ放映権料を支払うのであれば、単に試合数が多ければいいのではなく、それなりのクオリティを求めるということでしょう。
DAZN撤退の要因として、違法視聴の蔓延があげられます。これについてもひとつ動きがありました。リーグ・アンを運営するLFPと、欧州CL/ELの放映権を持つCanal+は、大手VPN業者5社を提訴。VPN業者に対して違法視聴のブロックを命ずる判決を得たのです。
対象の業者は以下の通りです。よく聞く名前もちらほらあります。VPNという技術自体に違法性はありませんが、違法利用を野放しにしていると責任を問われることになります。
- Nord VPN
- Cyberghost
- Surfshark
- ExpressVPN
- Proton
とは言っても、違法視聴の方法はこれだけではありませんし、今回の勝訴はこれから続く長い戦いの一歩でしかないことも事実なのですが、やらないよりははるかにましです。
料金を安くしたところで、これまでタダ見していた人が渋々お金を払うようになるかと言われると正直疑問ですが、料金が高すぎるという批判には当然耳を傾ける必要があります。リーグ・アンが新たな開設するチャンネルはどんな料金設定を仕掛けてくるのでしょうか。
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