福間女流六冠、妊娠時の規定改善を要望。

将棋の福間香奈女流六冠は記者会見を開き、日本将棋連盟に対して妊娠時におけるタイトル戦の規定について見直すよう意見書を送付したことを明らかにしました。


これに対応して、日本将棋連盟側も声明を発表し、「より柔軟に当事者の意思に沿った対応が行える仕組みを検討している」との見解を表明しています。

女流棋士の八大タイトルは、福間六冠と西山朋佳二冠によって占められている状況です。この二人は棋士のタイトル戦にも女流枠として出場する機会が多く、スケジュールは多忙を極めます。この状態が続けば、いくら夫のサポートが得られるとしても、子育てを継続し、さらに第二子を出産するのは難しいという主張です。

個人的には、他の女流棋士も含めて前向きな議論を行い、よりよい制度を作っていくべきだと考えます。決して悲観はしていません。


今年、日本将棋連盟では清水市代女流七段が初の女性会長となりました。福間女流にとって清水会長は尊敬する存在であり、「女流ABEMAトーナメント」ではチームを組んでいました。弁護士がついたりすると物騒な雰囲気を醸し出してしまいますが、決して険悪なムードではないはずです。

最大のライバルである西山女流も先日結婚を発表しています。タイトル「白玲」を4期連続で獲得しており、来年も防衛すれば規定により棋士になります。彼女の将来のためにも、いま動かないといけません。


福間女流も1月から棋士編入試験が始まります。棋士相手に10勝5敗、出産による体調不良で2度の不戦敗がありながらも堂々の成績を収めました。厳しい戦いが予想されますが、初の女性棋士誕生となれば、この問題は女性だけのものではなくなります。男性も育児休暇を積極的に取得できる環境が整備されるとさらによいでしょう。

なお、伊藤沙恵女流四段も棋士編入試験まで「あと1勝」に迫っていることを付け加えておきます。王位戦の挑戦者決定リーグ入りをかけた次戦は年内にも組まれる予定です。


これだけの条件が揃っている以上、いまが変える最大のチャンスであり、逆にこれを逃すと進まないでしょう。どうしても男女の話題となるとネットでは燃えがちなのですが、対立の構図でとらえられることは互いに望んでないはずです。

各棋戦にはスポンサーがおり、日程を柔軟に変更するにしても限度があることも確かです。この棋戦には参加しないというのを恣意的に決めるのはいろいろと問題がありそうです。提案にもある通り「暫定王座」のシステムなどを整備することが望まれます。


女子選手が活躍しているテニスやゴルフなどの制度に学ぶことも必要かと思います。ゴルフでは、JLPGAが2027年以降に全試合の主催権を自らが取得することをめざしています。従来のスポンサー企業が大会を主催するあり方を抜本的に変えようとしています。


将棋の棋戦は日本将棋連盟とメインスポンサーとの共催になっているので、ある程度は将棋連盟側で処理できることもあるでしょう。スポンサーの理解を得ることも重要です。

日刊スポーツの「記者の目」では、かつて女流王将戦を主催していた30年前の出来事について綴られています。当時も関係者間の調整が大変だったとのことで、貴重な証言が書かれた記事となっています。おおいに感銘を受けました。


現在はタイトル戦も増え、調整すべき関係者の数ははるかに増えています。だからこそ事前に規定を整理しておくべきですし、将棋連盟が主体となって行動できるよう、主催のあり方についても見直していくべきかと思います。

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