NHK、ネット同時配信へ。受信料制度のあしたはどこへ。

きょうの話題はいつになくまじめ。
ワンセグ端末の保有者にも受信料の支払い義務が発生するとの判決が最高裁で出されたとのことで、このタイミングで放出することにします。

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NHKのネット同時配信を可能とする放送法改正案が国会に提出されており、成立すれば来年度にも配信が実施される。
国民からの受信料を財源として運営される公共放送は、イギリスのBBCなどヨーロッパ諸国を中心に設立されている。
昨今のスポーツ放映権料の高騰にともない、公共放送が権利を購入できなくなるケースが相次いでいる。他の無料の民放局が購入できればよいのだが、それも難しいとなると有料の放送局やOTTサービスへと権利が移ることになる。

象徴的なのはヨーロッパにおけるオリンピックの放映権が従来のEBU(欧州放送連合)から、アメリカのディスカバリー・コミュニケーションズ社に移ったことだろう。これによって各国の公共放送はサブライセンスの獲得に苦戦している。
かといってオリンピックのような注目イベントが無料で観られないという自体は避けねばならない。日本ではNHKと民放が共同で放映権料を支払っているが、NHKの負担は重く、民放も収益をあげられなくなっている。

ネット同時配信は世界的な流れでもあり、むしろ遅かったとも言える。日本では民放連が民業圧迫だとして強く抵抗しているが、遅かれ早かれ民放も同時配信に踏み込まざるを得ないだろう。

ネット同時配信が始まると懸念されるのが受信料制度の今後。テレビを持っていなくても、ネットに接続できる端末を持っていれば受信料徴収の対象になるのでは、という不安が広がる。今回の改正案には盛り込まれていないが、これも近いうちに議論されるだろう。

ヨーロッパでは全世帯に受信料の納付義務を定めているところが多い。イギリスやドイツなど罰則を設けている国もある。もちろん所得の低い世帯には減免措置がとられるものの、支払えない世帯には資産を差し押さえられたり、牢屋に入れられるケースもあるんだとか。

スイスでは今年から全世帯に納付義務が課されるようになったが、この件に関連して昨年3月に国民投票が行われている。受信料制度の廃止を提案するもので、これが可決すれば事実上公共放送は消滅する。
結果としては約7割の国民が反対し、公共放送の維持が決まったが、今後も公共放送の存在意義を問う動きは多くの国に広がっていくものと思われる。
ちなみにスイスの受信料は年間で約4万円とかなりお高め。公用語が4つあることも理由だけど、それでも存続を選んだところにスイス国民の意識の高さが伺える。(日本では衛星契約だと約27,000円)

日本では受信料の納付義務は定められているが罰則はなく、徴収率の低さが問題となっている。ならばどのように徴収すればよいか。税金と一体化すると、それは公共放送ではなく国営放送となってしまう。

ということで、さまざまな論点を紹介してきましたが、筆者の考えについてはあえて書きません。ただ、受信料のみで多くのスポーツが視聴できることの陰には政治的な問題が絡んでいることを心の片隅に置いて頂けると幸いです。

なお、筆者は受信料を欠かさず納めている優良視聴者ですのであしからず(^-^;

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