ブラジルのJリーグ配信仕掛け人が語る放映権ビジネス
南米のサッカー情報に詳しいYouTubeチャンネル「ディアリオ・ハポネス」に、ブラジルでのJリーグ配信を実現させた「仕掛け人」であるジャーナリスト・マテウス氏のインタビューが掲載されました。
ブラジルの視点からみたJリーグの印象や、成長に向けての課題など興味深い話が盛りだくさんなのですが、当ブログではあくまで放映権ビジネスの視点でお伝えします。ぜひ本編をご視聴いただけると幸いです。
マテウス氏がJリーグに触れたきっかけは、当時大学院でスポーツジャーナリズムを学んでいた2022年、サッカー情報アプリ「OneFootball」でライブ配信を見たことだそうです。確かに、2022年にはブラジルを含む58か国・地域でJリーグの放送/配信が行われていました。
しかし、翌2023年にはJリーグの配信がなくなってしまいます。その時講師として知り合った元Jリーガーのジャメーリ氏(1997年柏、2004年清水に在籍)と意気投合し、ブラジルでJリーグの放送を復活させたいと活動を始めました。
2025年9月に念願が叶い、YouTubeチャンネル「Canal GOAT」を通じてJリーグの配信が復活しました。また「X Sports」でも配信されましたが、こちらは2026/27シーズンでは配信されていないようです。
マテウス氏は、ブンデスリーガやサウジリーグを比較対象として、Jリーグの放映権ビジネスの違いを指摘しています。ひとつは「買い切り」であること。もうひとつは「単年契約」であることです。
ブンデスリーガは、2023/24シーズンのサイクルから放映権の販売方針を変えており、有料と無料を組み合わせて複数の放送局に販売する「マルチプラットフォーム」戦略をとるようになりました。日本でもDAZNが有料、ABEMAが無料と使い分けられています。
ブラジルではそれがさらに進んでおり、計8社と契約を結んでいます。マテウス氏はCanal GOATの契約を例にあげていましたが、Canal GOATは一般的な「買い切り」契約ではなく、広告収入を分け合う「レベニューシェア」の契約を結んでいるとのことです。
どちらが進んでいるとかか遅れているとか、そういう評価はすべきでないと思いますが、ブラジル市場ではなかなか高額な契約は結びづらいという事情もありそうです。しかし、もともとの人口が多く、当然ながら熱烈なサッカーファンが多数ですから、無料配信による広告ビジネスが成立しやすい環境にあると思われます。
Canal GOATも、そして当ブログではたびたび取り上げている「CazéTV」も、そういう背景のもとで台頭してきたプラットフォームです。この取り組みが、しだいにヨーロッパなどに逆輸入されることも充分考えられます。すでにスペインなどではYouTuberが放映権を獲得する事例が出てきています。
サウジリーグは「4年契約」である、という話も触れられていました。サウジリーグの代理店はIMGで、2025-26シーズンから4年契約を結んでいます。ですから、ブラジルに限らず他国においても同様に4年間のサイクルで動いています。
ちなみに、ブラジルでは大手テレビ局・Globoの傘下である有料放送局「Sportv」でサウジリーグが放送されています。日本ではSPOTV NOWですね。名前が似てますが無関係です。
ブラジルでJリーグの配信が消滅した2023年ですが、Jリーグは2022年まで電通と海外向け放映権の代理店契約を結んでいたのです。しかし、この契約が終了し、2023年以降新たな代理店と契約したという情報はありません。「単年契約」になっているのも、そういった事情が大きいものと考えられます。
2023年からは「Content Arena」というオンライン上で放映権の取引ができるプラットフォームと提携したと報じられており、Canal GOATもこれを通じて取引した可能性があります。
先日、JリーグはIMGとの契約を発表しましたが、この契約は「グローバルスポンサーシップ戦略」を推進することが目的だと説明されており、放映権の代理店契約ではありません。ただ、今後そちらの方向に発展する可能性は十分に考えられます。
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