【平成最後】30年間の放映権重大ニュース。

いよいよ平成最後の日です。

当ブログ的に平成を振り返るとすれば、1984年のロサンゼルス五輪が商業的に成功を収めて以来、スポーツビジネスがどんどんと巨大化していった30年間だったと言えるかと。
放映権料はどんどん膨れ上がる一方であり、いつバブルがはじけるか分からない状態。そんな不安を抱えつつ、新しい令和の時代を迎えることとなります。

ということで、平成のあいだに起こった放映権絡みの出来事について、独断と偏見でいくつかをセレクトしてみました。


●イングランド・プレミアリーグ発足(平成4、1992)
ビッグクラブと当時の新興勢力であった衛星放送・スカイが手を組んで誕生した新リーグは、後に巨額の放映権料が動き今日の隆盛へとつながっていきます。

●バレーボール、ラリーポイント制採用(平成11、1999)
テレビがルールを変える例は枚挙にいとまがありませんが、スポーツの根幹に近い部分でルール変更が行われた例としてこれをあげました。
従来のサイドアウト制(サーブ権を持っているときのみ得点となる)と比較すれば、確かに試合時間が長引くことはなくなりましたが、なかなか罪深いものがあります。

●ISLとキルヒメディアの破綻(平成13、2001)
アディダスと電通によって設立されたISL社と、ドイツのメディア企業・キルヒメディア社は合同でワールドカップの放映権料を大幅に吊り上げることに成功した…はずなのですが、その後相次いで破綻。
その後FIFA幹部に多額の金が渡っていたことが判明し、歴史に汚点を残しました。当時のF1を牛耳っていたバーニー・エクレストンとの深い関係もまた問題となりました。

●巨人戦、NHKで放送。日本テレビの独占崩れる(平成14、2002)
2000年、2001年と巨人戦の平均視聴率が大きく落ち込み、巨人軍は一部試合の放映権をNHKに販売することを決断。
日テレが放送されない地域も含んだ真の意味での全国ネット。そして試合開始から終了までの完全中継がこれによって実現したのです。
日テレにとっても巨人戦の中継で不定期放送と化していたバラエティ番組の強化をはかり、現在の地位を築くことができましたので結果的にはよい結果となりました。

●日韓ワールドカップの放映権料高騰。スカパーが全試合中継(平成14、2002)
先程の放映権高騰の煽りを受け、母国開催にも関わらず全試合の中継が行われないかもしれない…という危機に。
そこに登場したのがスカパーで、全試合無料中継という思いきった決断。専用アンテナの普及と、その後のサッカーコンテンツの充実に大きく貢献することとなります。

●米NBC、五輪4大会の放映権を約3500億円で取得(平成23、2011)
先に触れたように1984年のロサンゼルス五輪を契機にオリンピックの放映権料の高騰が始まりました。とくにこの巨大契約はオリンピック利権の象徴と言ってよいでしょう。
ご存知の通り、一部の競技の開催時間はアメリカのゴールデンタイムに設定されています。テレビがどこまでスポーツに介入できるのか。今後もせめぎ合いが続くことは言うまでもありません。

●beIN Sports設立(平成26、2014)
カタールの衛星放送、アル・ジャジーラからスポーツ部門を分離させたのがbeIN Sports。中東だけでなく多くの国でサービスを展開し、豊富な資金力で放映権を続々と獲得しています。
それ以外にも中東のマネーが世界のスポーツ界を席巻しているのはご存知の通り。石油などの天然資源はいつか底を尽きます。中東の国々は将来を見越して投資に力を入れているのです。

●メイウェザーvs.パッキャオ PPV最高記録(平成27、2015)
世紀の一戦は440万件のPPV契約と4億ドルの売上を叩き出し、興行面でも世界一のビッグマッチとなりました。
しかし、約1万円もするPPVを契約して観る価値のあった試合だったのか。ここ数年でNetflixなどサブスクリプションサービスが急成長を遂げ、ボクシング界もまたその波に巻き込まれていくのかもしれません。

●オリンピックの欧州向け放映権がディスカバリーへ(平成27、2015)
従来は無料放送を前提として、主に各国の公共放送を中心に販売していた放映権が、なんと傘下に有料放送のユーロスポーツを持つディスカバリー社のもとへ。
オリンピックさえも有料放送で観る時代になってしまうのか?実際、ディスカバリー社とのライセンス交渉で多くの国が苦しめられることとなりました。

●DAZN登場。OTT時代の到来(平成28、2016)
スポーツのライブ配信を中心に置いたサービスがついに登場。Jリーグとの独占契約は日本中を驚かせました。イギリスからやってきた「黒船」の今後から目が離せません。

●Amazon、プレミアリーグの一部試合の放映権を獲得(平成30、2018)
プレミアリーグの放映権バブルは止まらず、当初の仕掛人だったスカイさえも独占することはできなくなりました。
そして、この年に行われた入札ではついにAmazonが参入。わずか20試合分ではありますが、いわゆる「GAFA」の一角が世界最高のリーグに割って入ったのです。

●コムキャスト、スカイを買収(平成30、2018)
そして、スカイそのものも身売りすることとなりました。スカイの親会社である21世紀フォックスが完全子会社化をめざしていたのですが、そこに割って入ったのがコムキャスト。NBCの親会社でもあります。
この買収劇はヨーロッパとアメリカをつなぎました。そして、今後の競争はますますグローバルになります。


世界中のスポーツコンテンツが、これまた世界中の企業によってかき集められていく。そんな時代の流れの中で平成は終わります。
まだまだ取り上げたい出来事はあるのですが、今回のところはこのへんで。令和の時代が、気軽にたくさんのスポーツが観られる時代になることを願ってやみません。

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