米NBCはリオ五輪をどう放送したのか。

東京五輪のマラソンと競歩の会場を札幌に移す問題に絡んで、巨額の放映権料を支払っているアメリカのNBCに目を向ける人が増えてきたようです。

なぜ真夏なのか?1964年のように秋開催にはできないのか?といった声もあがってますが、現実的にはこのタイミングではもう遅すぎるのでしょう。

個人的に知りたいのは他の競技団体の思惑です。東京五輪では33競技339種目が開催されますが、今回の問題はその中の1競技5種目です。もちろん猛暑では危険な競技もありますが、夏開催について本音ではどう思ってるのか。本当に素朴な疑問です。

また、開催時期の問題にはオリンピックの商業主義化だけではなく「オープン化」の問題が絡んできます。要はプロのスター選手たちに出場してほしいわけですが、この問題についてはまた後々取り上げたいと思います。
また前置きが長くなりましたが、NBCは「4大会43.8億ドル」という大枚をはたいて何を放送したのか、というテーマを今回取り上げます。ちょうど2016リオ大会の放送スケジュールが見つかりましたので。

NBCでは地上波のネットワークのほか、有料チャンネルも総動員して中継を行いました。スポーツ専門チャンネルのNBCSNは当然として、経済チャンネルのCNBCまで活用されました。トータルの放送時間は655時間に達したとのことです。
ちなみに日本だと各局合計で400時間程度となります。NBCの放送時間は日本の約1.6倍。放映権料は約3.5倍といったところです。人口が約2.5倍であることを考慮すると…えっ、もしかしたら日本も結構払っているのかも?
すべて取り上げるときりがないので地上波に絞ると、まず驚くのが開会式・閉会式が録画であること。リオは時差がほとんどないにも関わらず、いわゆるゴールデンタイムに合わせて放送しているのです。

オリンピックの精神(オリンピズム)はスポーツに限ったものではありません。かつて芸術競技があったことは知られていますが、現在でも芸術プログラムは含まれており、開会式もその一貫です。これを生中継しないのは、オリンピズム軽視では?と思ってしまいます。

また、アメリカ東部では生中継なのに、西部では録画というのが多いです。国内で時差があるとは言え、こんな形で調整するというのはなかなか理解が難しいです。

地上波で多く放送された種目をピックアップすると、陸上・競泳・バスケットボールあたりは納得です。ちなみにマラソンも男女ともに地上波でした。アメリカのマラソンのレベルは決して高くないはずですが、それでも陸上のブランド力が効いています。

個人的に意外だったのはバレーボール・ビーチバレー・ボート・水球といったところ。アメリカのレベルが把握できてないので実際には妥当なのかもしれませんが、普段あまり取り上げられない種目がクローズアップされることには意義があると思います。
そして、忘れてはいけないのがストリーミング配信。リオ五輪では4,500時間を超えるコンテンツを配信し、約1億人が視聴したとのこと。

東京五輪ではこの数字が大幅に更新されるでしょう。また、時差の関係から見逃し視聴が増えるはずです。NBCのサーバが耐えられるかも大きな課題となります。

スポーツ中継の醍醐味はやはりライブだと思いますが、テレビに関して言えば必ずしも当てはまるとは限らないようです。ライブは有料チャンネルやストリーミングで、という時代がもう来ちゃってる感じですね。

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