羽生九段突如投了の波紋。将棋とAIの共存とは。
きょうは将棋の話題その2です。
この瞬間はリアルで見ていたのです。羽生九段と豊島竜王が対戦したA級順位戦。いったんは土俵際に追い込まれた羽生九段が、50歳に達してもいまだ衰えぬマジックを駆使し、ついに逆転したように思われたのです。
画面上のAIの評価値では羽生九段が94%で優勢と表示されていましたが、ここで羽生九段が勝利を決める一手を放つか…と思いきや、投了してしまうというまさかの結末に。
でも、まさかと思っているのは評価値を見ている視聴者のみであって、当の本人は勝ち目が薄いと思っており、相手の豊島竜王も確信が持てなかったというわけです。人間とAIの判断は違う。当たり前のことではありますが、改めて思い知らされる出来事となりました。
評価値をパーセンテージで表現する手法はABEMAが導入したものですが、この根拠ははっきりとはしていません。例えば先手が+100となる局面を集めて、そこからの勝率を実際に計算したのであればそれなりの説得力は出るのですが。
それでも序盤と終盤では同じ評価値でも重みが違うでしょう。一手間違えば逆転となる局面もあれば安全な局面もあります。そのあたりはAIが示す複数の候補手を参照しながら、見る側が解釈しなければなりません。
もちろん導入する側もこの点は承知のうえですから、今後はより人間らしい思考に沿ったチューニングを施してくることになるでしょう。人間とAIは敵対するものではなく、お互いに寄り添って共通の問題を解決していく関係になっていくはずです。
ということで、おまけでもうひとつ記事を紹介。強いAIもいいけど、適度に弱いAIへのニーズもあります。これから将棋が強くなりたい人にとって、人間らしいミスをしてくれるAIがあると上達が早いはずです。
では、どうすれば適度に弱いAIが作れるのか。ゲーム会社の方に聞いたところ、昔弱かった頃のプログラムを大事に保存しているんだそうで……うーん、そんな手がありましたか。
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