米NBC、五輪批判の寄稿アゲイン。実は以前から。

五輪の放映権を持つ米NBCのWebサイトが東京五輪を批判、ということでTwitterが埋め尽くされておりまして、ニュースの収集が滞っている状態です。

まずはマスメディアの原則である「編集権の独立」について触れなければいけません。経営と編集は独立した存在であるべきというものです。ですから、NBCが五輪の放映権を持っていようがいまいが、別に批判する記事を載せても全然問題ありません。

同じことは日本のメディアにも言えるわけで、放映権を持つテレビ局も、スポンサーに名を連ねる新聞社も堂々と批判すればよいのです。NBCが報道したから~と、それを引用するだけのメディアは自らの役割を放棄してはいないでしょうか。

なお、この記事は大学教授の寄稿であり、オピニオンとして掲載されています。ですからNBCの社論というわけでもありません。そういう意見も載せるのがNBCなのです。
さて、この光景はつい先月に見たものと同じです。いわゆる森前会長の女性蔑視発言に関連して、同様にNBCに記事が掲載されました。寄稿者は今回と同じボイコフ教授です。

ボイコフ教授は政治学を専攻しており、もともとオリンピックを批判的にとらえている方です。先月だけでなく、それ以前からも不定期で寄稿しています。NBCもそれを普通に掲載してきましたし、これからもするのでしょう。
2月の記事を振り返ると、森前会長の発言を引き合いにして、日本における女性の社会進出が進んでいないことを日本の学者のコメントとともに批判しています。

また、IOCに対してもクーベルタン男爵の時代にまでさかのぼり、これまで行ってきた女性への抑圧の歴史を述べています。

今回の記事はというと、聖火リレーの開始を題材とし、出発地である福島について「まだ復興とはほど遠い」と地元の活動家の方のコメントを引用。「復興五輪」のスローガンを欺瞞だとするとともに、コロナ禍の中で聖火リレーを強行したことを批判しています。

また、聖火リレーはナチスドイツの傘下で開催された1936ベルリン大会で始まり、その後も政治的に利用されてきたという歴史について触れています。

もちろん賛否両論あるでしょうけど、構造的には同じようなことを言っていることがおわかりかと思います。この教授は以前から同じことを言っているし、これからも言うであろうことは容易に推測できます。早ければ4月にも次回があるのではないでしょうか。
昨年3月、東京五輪の延期が決まった際の寄稿も紹介しておきましょうか。この論調はアメリカのいわゆるリベラル層にはよく刺さるのでしょう。

ただ、政治学からの視点ということで、もうひとつの側面である経済については触れられてませんし、スポーツという文化をどう発展させていくべきかという論点についてはほとんど関心がなさそうに見えます。

今後発生する経済的な損失をどう処理するのか。そして、アスリートの活躍の場をどう確保していくのか。複眼的な視点での議論を求めたいところであり、当ブログの関心もそちらにあります。

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