スポーツデータは個人情報?訴訟の動きも。
スポーツを楽しむのにデータは欠かせなく、データの内容はどんどん高度化しています。それにともない、さまざまな問題が生じていることは当ブログでも触れてきました。
また、世の中の流れとしては個人情報保護の流れが加速しています。日本でも2023年に個人情報保護法が改正されましたが、先端を走っているのはヨーロッパです。いわゆるGAFAに象徴されるアメリカ発の巨大企業の台頭を警戒している面もありますし、あわよくば膨大な課徴金をせしめようとする意図も?
サッカーにおいても「Project Red Card」なる動きが発生しているとか。これはサッカー選手の持つ情報を勝手に使っている企業に対して補償を求めるという動きです。
選手の持つ権利のうち、肖像権は所属するクラブや連盟などの組織が契約のもとに活用していますが、彼らの言う情報というのはもっと範囲が広く、データも含まれます。
データは大別すると「競技データ」と「パフォーマンスデータ」があります。前者はサッカーで言えば得点やアシストといった統計的なデータであり、後者は画像を解析したり、あるいは選手自身にセンサーを取り付けるなどして収集した行動のデータです。
パフォーマンスデータも最近では試合の中継でよく表示されるようになりました。走行距離やポジショニングのヒートマップといったデータが該当します。
こうしたデータが公開の場でも見られるようになった現状において、データを第三者が勝手に収集し、それを利用するのはどこまで許されるのか、線引きが難しくなってきています。個人のトレーニングや戦術分析だけでなく、ゲームやスポーツベッティングにも使われています。そのデータを使って儲けている業者が現にいるわけです。
個人情報の保護というのは、自らが誰にどんな情報を開示するかをコントロールする権利があるという考えに根差していますが、果たしてこういったデータも個人情報の範疇とみなしてよいものか。
センサーを付けないと収集できないデータならともかく、試合の映像を見て収集できるデータであれば、理屈上誰でも作れることになりますし、まだ解釈が明瞭になっているわけではありません。
権利を濫用した無謀な訴訟となる可能性ももちろんありますが、世間の認識はここまで進みつつあるというのも現状です。すでに成立している巨大ビジネスに影響を与えかねないだけに、最新の動向にはアンテナを張る必要があります。
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