森内永世名人、将棋の本質をパロディでえぐる?

長らく紹介できなかった将棋界の話題です。今年も藤井五冠が中心ですが、里見女流四冠が男性棋士相手に快進撃を続けており、次の対局を勝つか、敗れてもその次で勝てば棋士編入試験の資格を得られるところまで来ています。
ベテラン勢もまだ負けられないところ。ということで、今回は森内九段の話題。最近復調しており、またバックギャモンの日本チャンピオンになったという話題も。

前置きが長くなりましたが、森内九段が運営するYouTube「森内チャンネル」に昨年末アップされた、『森内俊之vs.森内俊之』という動画が本日のお題です。

この動画のモチーフとなっているのは、10年前以上に投稿されたいわゆるMADで、NHK杯の映像を切り貼りして作成されたものですが、それを森内九段が自ら再現したパロディとなっています。
元の動画は著作権的にも問題ありますし、また反則技が多数登場することもあって、プロがそのまま再現するわけにはいきません。かくして、森内先生が一人二役で本格的な将棋を指すというパロディなのに大真面目な作品となっています。

パロディは現実社会の問題を浮き彫りにする表現手法として用いられることがありますが、森内先生のことですから、この作品の中に壮大なメッセージを込めているのかもしれません。
プロ棋士は自営業者であり、YouTuberを副業とすることに問題はありませんが、プロ棋士どうしの対局をアップすることはできません。対局は本業ですからね。

なので、他の棋士YouTuberの動画ではアマチュアと対戦したり、プロ同士では変則ルールで対戦しているのですが、果たして一人二役で対戦するのはOKなのか。ルールの盲点を突く哲学的な問いのように思えます。

また、一人二役で対戦する場合、先手と後手の差がどうなるかという問いもあります。将棋は統計的に先手のほうがわずかに勝率が高く、プロになるとさらに差が開きます。レベルが高くなるほど一手の差が大きな差になるわけです。
AIどうしの対戦では先手の勝率が60%前後になるとのことですが、将来的に将棋のすべてが解析される時は来るのでしょうか。

ゲーム理論では「先手必勝」「後手必勝」「引き分け」のいずれかに収束することが知られていますが、現状先手がやや有料だからといって、結論も先手必勝になるとは限らないのです。

この対局で先手の森内先生と後手の森内先生のどちらが勝ったのかは動画を観て頂ければと思いますが、将棋の真髄を探究する人間の思考過程が垣間見えるような気がします。

AIが人間を超えても探究の営みは続きます。それこそがこの競技の魅力なのでしょう。ちょっと大げさですかね😅

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