DAZN、2020年に13億ドルの赤字を計上。
DAZNが親会社のAccess Industriesから43億ドルの資金調達を行ったことを先日紹介しましたが、この手続きにともなってイギリスの登記サイトにいくつかのドキュメントが公開されています。
その中に2020年の決算書が含まれており、およそ13億ドルの赤字だったことが記されています。
2020年はパンデミックにより世界中のスポーツが止まり、ライブ配信を軸とするDAZNにとってはビジネスモデルの根幹が崩れることとなりました。
しかしながら、収入面ではメインとなるOTTの視聴料が6億ドル→7.2億ドルと増加しています。一時的に多数の解約を出したと考えられますが、後半には立ち直り、またグローバル展開を始めたことで傷口を浅くしました。
ただ、DAZNには放映権を買うだけでなく売る側の仕事もあります。FIBAなどと合弁で行っている事業が大会中止でストップし、大幅な収入減となりました。
大会中止は支出面ではプラスに働きます。放映権料は前年の17億ドル→12億ドルに減りました。日本においては欧州CLの放映権を1年契約を残しながら返上したことは記憶に新しいところです。
また、販管費も32億ドル→15億ドルに圧縮されています。イギリスでは社員の一時帰休を実施し、人件費は横ばいでした。
2018年は6.6億ドル、2019年は14億ドルの赤字。2020年は13億ドルで若干減ったものの、コスト削減による後ろ向きな減少だったとも言えます。
3年間で33.6億ドル、それ以前も含めれば今回43億ドルの資金調達が必要だったというのもうなずける数字です。いったん債務をリセットし、経営陣も改めて出直すことになります。
地域別の数字もありまして、Asia-PacificにおけるOTTの売上は約2億ドル。全体7.2億ドルのうち約28%を占めています。この数字はほぼ日本市場と考えてよいでしょう。その他では欧州が4億ドル、南北アメリカが1.2億ドルという内訳です。
広告など他の収入を含めても2.2億ドル程度であり、Jリーグの放映権料だけでもその大半が費やされるというのが現実。2021年はさすがにもう少し改善されているものと思いますが、やはり遅かれ早かれ値上げは不可避だったと言わざるを得ません。
他にもドキュメントをよく読み込めば興味深い情報がいろいろ出てくるものと思いますが、英語力と会計知識に限界があるため、今回はこの辺で。また面白い話があれば取り上げていきます。
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