交渉自体も公表できない守秘義務の壁 & スコットランド関連

本日は、日経新聞でスポーツビジネス関連の記事を執筆している谷口記者のツイートを題材にします。


DAZNとプレミアリーグの放映権契約は5月末をもって満了したものと考えられます。そのため、DAZN本体やYouTubeチャンネルからもプレミア関連の動画はいっせいに削除されました。


この件についてtwitterでは多くの批判コメントが投稿されていたのですが、谷口記者によると「放映権を失ったことすら発表できないと契約に盛り込まれているケースがある」とのことです。これがプレミアの契約にも該当するのかは触れられてませんが。

まぁ、これはよくある話なんです。いわゆるNDA(秘密保持契約)にどんな内容が書き込まれているかなんですが、交渉していること自体も、そしてNDAを結んでいること自体も公表できないと明記することは普通です。なので、DAZNからしてみると言いたいことがあったとしても何も言えない状態であるかもしれないんですね。それを谷口記者が実際に存在するケースだと書いたことには大きな意義があると思います。


ただ、プレミア関連のコンテンツは5/31が視聴期限に設定されていたことを確認しています。これを見ていれば、事前に察知はできたんじゃないかと思います。直接情報開示はできなくとも、視聴期限によって間接的にほのめかした…という感じでしょうか。なので、個人的にはこの件でDAZNを責める気にはなれないのです。

DAZNジャパンは来シーズン以降のイングリッシュ プレミアリーグ放映権獲得に向けて交渉を続けておりますが、現時点においては来シーズンにおいての権利を保有しておりません。一方で来シーズンも引き続きファンの皆様にEPLをお楽しみ頂けるよう、関係者との協議を継続していく所存です。


これがDAZNが出しているプレミアリーグに関する発表内容です。「権利を保有していない」ことは、Eclat(SPOTV NOW)側が来季以降の放映権獲得を発表したことで公知になったので触れることができるのでしょう。


「交渉を続けている」ことに触れているのはちょっと意外なのですが、こちらもSPOTV NOWのほうが交渉していることを認めているので、いちおう双方の合意はあるのかな…といったところです。でも、結果が出るまでは何も言えないでしょうし、結果が出たとしてもDAZN側が積極的に公表することはないのでしょう。その場合、SPOTV NOWのほうが「独占」という2文字を付けるかどうかで判断されることになります。


話はそれますが、フジテレビが「THE MATCH」の放送を断念したことで、ABEMAのほうは「全試合独占」を謳うようになりました。「独占」の2文字には重みがあります。

さて、イングランドのプレミアリーグだけでなく、スコットランドのプレミアリーグについても5月で契約が切れたようです。昨年から追加されたコンテンツですが、どうやら単年契約だったようで、来季については再度交渉することになるでしょう。


スコットランドの放映権はinfrontが代理店を務めています。それ以前に代理店だったMP & Silvaが破綻し、2018-19シーズンから引き継いでいます。現在は2024-25シーズンまでの契約を結んでいます。


セリエAも昨年からinfrontがイタリア国外向けの代理店となっています。イタリア国内はDAZNなのですが、それでも国外は扱いが別なのです。昨年セリエAの配信もなかなか決まらず、ファンをやきもきさせたのは記憶に新しいかと思います。先日も書いたように、infrontという代理店はタフな交渉をしかけてくるタイプで、開幕ぎりぎりまで粘ることも辞さないといったイメージです。


なので、来季のスコットランドについても開幕ぎりぎりまでかかるんじゃないか…と予想しています。日本人が多く在籍しているリーグですからそんなに悲観はしていませんが、1対1の交渉ですから合意に至るまでにはさまざまな駆け引きがあるというわけです。

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