HBO Maxとdiscovery+、来年夏以降に統合へ。

今年4月に合併したワーナーブラザース・ディスカバリーは、旧ワーナーの配信サービスである「HBO Max」と旧ディスカバリーの「discovery+」を統合する意向を発表しました。アメリカでは2023年夏、それ以外の地域では2024年に新しいサービスをローンチする計画です。


合併した時点で既定路線だったとは言えます。ストリーミングの成長に陰りが生じ、物価も上昇する中でユーザーの選別意識が高まっています。ひとりのユーザーが契約するサービスの数に限りがある以上、今後は生き残りをかけた競争が進んでいきます。

さて、当ブログ的に気になっているのはディスカバリーが手がけるスポーツ関連事業です。ヨーロッパ等ではユーロスポーツを展開し、イギリスではDAZNが進めていたBT Sportの買収を横からかっさらいました。また、ゴルフの「GOLF TV」や自転車の「GCN」なんかもありますね。

ユーロスポーツについては、配信プラットフォームである「Eurosport Player」とdiscovery+の統合が進行中で、discovery+からユーロスポーツのコンテンツが視聴できるようになっています。その先にはさらにHBO Maxとの統合が待っている…と言いたいところですすが、そう単純には進まないようです。

というのも、HBOはSkyと2025年までコンテンツの供給契約を結んでいます。そのため、HBO MaxはSkyがサービスを運営しているイギリス・ドイツ・イタリアといった国ではまだサービスを開始できていません。北欧・東欧・中欧、そしてスペインなどではサービスを開始しているのですが、この契約のために足並みを揃えることができないわけです。

先ほど書いた通り、ディスカバリーはイギリスでDAZNによるBT Sportの買収を阻止し、新たな合弁会社を設立しています。BT Sportの最大の競合はSkyなのですが、2025年をターゲットとしてSky包囲網を着々と敷いているというわけです。


最近はプレミアリーグの放映権の話が多くなってますけど、プレミアの現在の放映権は2024-25シーズンまでであり、3年後にまた新たなサイクルに入ります。つまり、ここでも2025年がターゲットとなっています。すっかり上昇しきったと考えられる放映権料ですが、どうやら次がイギリスにおける最終戦争になりそうな予感です。

日本の話も少ししておくと、昨年HBOはU-NEXTと提携しており、オリジナル作品を独占供給しています。もちろん既存の作品についても複数のプラットフォームと契約を結んでおり、HBO Maxが参入するにはこれらを解きほぐす必要があります。U-NEXTとのパートナーシップを強めるのか、それとも独自での参入に踏み切るのか。答えが分かるにはもう少し時間がかかりそうです。

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