W杯の放映権料、結局いくら?→わかりません
FIFAワールドカップの放映権料については、これまでもいくつかの異なる数字が報道されてきました。最近では「総額350億円」とか、ABEMAは「200億円」を支払ったという数字が飛び交っています。
これは複数ある説のうちもっとも高いものです。インパクトがある数字のほうが広く伝わるし、他のメディアもそれに追随するんですよね。でも、実際のところは分からないわけです。公表されていませんし、誰も契約書を見たわけではありません。
もちろん当ブログもメディアが報じている話しか取り上げることができないのですが、これまでどんなに数字が報じられてきたのかを時系列に沿って振り返ってみます。
まず、昨年7/28付の朝日新聞から。いわゆるジャパンコンソーシアム(JC)の枠組みが崩れたことを伝える記事です。ここでは、電通がJCに対して「200億円超」を提示したが折り合いがつかなかった…と書かれています。
その後ABEMAが参入することで決着がついたとは言え、この200億円超という数字がいきなり350億円に跳ね上がるというのは、正直なところ考えにくいというのが筆者の印象です。
ABEMAの参入をスクープしたのは今年2/4付のスポニチでした。第一報ではABEMAが「200億円」で放映権を獲得し、NHK・テレビ朝日・フジテレビにライセンスするといった内容が書かれていたと記憶しています。
しかし、その後記事の内容は書き換えられました。総額は「180億円近く」であり、NHKが半分を負担。ABEMAがそれに次ぐ金額で、残りがテレビ朝日とフジテレビだと書かれています。
もっとも高い「総額350億円」、ABEMAが「200億円」という数字が出たのは5/12付のFRIDAYデジタルです。NHKが90億円、テレ朝とフジで計60億円とも書かれています。
最初の朝日新聞では総額200億円だったものが、ここではABEMA1社で200億円という話に変わっています。各社の負担の割合もだいぶ食い違いがみられます。
少し話がそれますが、FIFAの資料によると日本におけるライセンシーは電通であり、そこから各社にライセンスを下ろす形式になっていることがわかります。これはオリンピックでも同様な表記となっており、JCは崩壊したものの枠組みは残っていると言えます。スポニチが第一報を書き換えたのは正しい判断だったのでしょう。
もしこれまでの報道をすべて信じるならば、JCが「200億円超」の提示額を払えずにいたところ、ABEMAがポンと200億円出し、勝手に総額が350億円に増えたことになります。これは電通にとって濡れ手に粟。ウハウハですね…
電通がもとからネット向けの権利を別に販売しようとしていたなら分かるのですが、ABEMAの藤田社長によるとテレ朝から「去年の暮れごろ」に声がかかって検討を始めたということ。JCが崩壊した後に総額が増えるというのはちょっと信じ難いです。
話を戻します。5/16の日経新聞には「総額二百数十億円」という記述があります。個人的には日経新聞をいちばん信頼したいところですが…こればっかりは何とも言えません。
この記事では前回の2018ロシア大会の放映権料を「推定600億円」と書いているのですが、これについても実際はそこまで上がっておらず、せいぜい300億円台ではとする記事が出ています。この前提があやしいと、他の数字もあやしく見えてしまいます。
結局のところ、どれが正しくてどれが間違っているかという話でもなく、全部が間違っている可能性だってあるわけです。各社ともに契約には守秘義務があるわけですから、実際の数字が出てくることはないでしょう。今後、各社の決算情報などをみて総合的に判断していくしかありません。
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