Jリーグ、傾斜配分でビッグクラブ創出へ舵。

11/15、Jリーグは新たな成長戦略と構造改革についての発表を行いました。Jクラブが各地域で成長する「ローカル」と、全国・そして世界に羽ばたくトップクラブを生み出す「ナショナル(グローバル)」という、ともすると正反対のような2つの戦略がテーマとなります。どうやって両立させていくのでしょうか。

構造改革の大きな柱となっているのが、クラブへの配分金の見直しです。現在はJ1がJ2の2倍程度となっているものを、将来的に5~6倍にしていくとのこと。


各クラブに同額が配分される「均等配分金」は、現在J1が3.5億円、J2が1.5億円となっています(J3は3,000万円)。J1が18クラブ、J2が22クラブですから、総額は96億円です。クラブ数は20:20にする案も出ているそうですが、仮にそのままだとすると、J1が4.4億円、J2が7,500万円程度になるイメージです。


実際には同じカテゴリーのクラブ間でも差が広げられます。均等配分金の割合が下がり、成績要件とエンゲージメント要件の割合が引き上げられます。これはラ・リーガの配分方法に近いイメージでしょうか。

ワールドカップも始まり、日本におけるサッカー人気の低下が懸念されています。全国的に見れば確かにそうなのでしょう。ただ、地域単位で見ていくとサッカー熱が高いところもあり、それは全部で58(来季は60)あるJクラブが生み出してきたものであり、サッカー文化における大きな土台となっています。それをいかに日本代表の人気につなげていくか。欧州で選手が活躍するのも当たり前になったいま、おらが町のサッカーが世界につながっているという道筋をいかに見せていくのかが問われています。


かつての巨人軍のようなクラブを作るという意味ではありません。それはJリーグ発足時、ナベツネとの対立で否定された路線です。しかし、今後海外に向けて放映権やスポンサー収入を得るためには、象徴的なクラブが必要であることもまた確かです。現行のDAZNとの契約は2028年までであり、それ以降の保証はありません。


次の契約で、現在を上回る規模の放映権料を獲得できるか。残り6年という期間は、長いようであっという間。今のうちに手を打っておかないといけません。本来ならば以前から議論されていたことではあるのですが、コロナ禍でここ2年は守りに入らざるを得ず、改めてギアを入れ直したといったところです。

ちょうど同じ11/15に、「Jリーグクラブ経営ガイド」の2022年版が発行されています。クラブ経営のリアルを知るのに格好の資料となっていますので、目を通して頂くことをおすすめします。


当ブログ的には付属資料のデータ集が興味深いです。欧州サッカーとの比較がなんとも生々しい。欧州5大リーグに追いつき追い越せは難しいとしても、それに近い規模までは成長したいものです。

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