【速報】ヤフー傘下のGYAO!終了へ。動画はLINEに特化か。

ヤフー傘下の動画配信サービス「GYAO!」が、3月末をもってクローズすると発表しました。


日本最大級のユーザーを誇るヤフーは、多種多様なサービスを手がけているものの、局地戦では他のサービスとの競争に敗れて撤退…という動きがどうしても出てきます。ガリバーならではも苦しさと言えるかもしれません。

ヤフー、そしてLINEの親会社にあたるZホールディングスによると、動画領域の経営資源を「LINE VOOM」に集中するとのこと。3日前の1/13には「LINE LIVE」のサービス終了も発表しており、グループ全体での動画配信の戦略が大きく変わることになります。

GYAOはもともとUSEN(現USEN-NEXT)のサービスで、「パソコンテレビ」と称して広告による無料モデルを推進していましたが、グループの映画配給会社・ギャガの経営不振などを理由に2009年にヤフーに譲渡されました。

ヤフー傘下となったGYAOは電通、博報堂、民放キー局5社の出資を取り付け、コンテンツの強化にも取り組んでいましたが、無料モデルという点ではABEMAに及ばず、またテレビ番組の見逃し配信ではTVerに役目を奪われた形です。なぜGYAOはABEMAになれず、ヤフー主導でTVerのようなサービスを作れなかったのか。おおいに反省が必要でしょう。


一方、有料サービスである「Gyao NEXT」は譲渡されずUSENに残り、2009年に名称を「U-NEXT」に改めます。現在は国内最大級のコンテンツを揃えたサービスへと成長しています。いま振り返ると、この時点でヤフーは選択を誤ったのかもしれません。いや、どちらにしろヤフーにはサービスを成長させる力がなかったのかもしれませんが。


当ブログ的には、GYAOはスポーツの配信を行っていないので、興味の関心は同じヤフー傘下であるスポーツナビに移ります。スポーツナビも元はと言えばヤフーに買収されたサービスのひとつなんですが(2002年に営業譲渡)、こちらは立派に成長を遂げました。

GYAOがなくなることで懸念されるのが、動画広告分野のプレゼンスがさらに低下すること。この分野はYouTubeを擁するGoogleが圧倒的に強く、またTikTokなど若者に強い勢力が台頭。Netflixなどの動画サイトも広告付きプランの導入を進めています。


ヤフーとしては立て直しが急務であり、そこでスポーツ関連の動画を多く持っているスポーツナビのメディア力が浮上してきます。テレビとともに成長してきたスポーツコンテンツは、CMを入れやすいフォーマットに変化してきました。もちろんその功罪はあるのですが、スポンサーあってのプロフェッショナルです。


ソフトバンク主導の「スポナビライブ」が終了後、スポーツナビは無料での動画配信に注力してきました。また、同じくソフトバンクが権利を持っている「ベースボールLIVE」についてはヤフー有料会員向けの配信を2月末で終了すると発表しており、今後の動向が気になるところです。


有料配信に舵を切る方向も考えられますが、広告媒体としての価値を自ら損ねるのもどうか…と思います。基本的には無料配信を中心に戦略を組み立てるのではないでしょうか。そうなると、LINEのほうにリソースを集中させるというのも分かる気がします。ヤフー、そしてLINEも加えたグループ全体としての方針が問われます。

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1コメント

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  • てんてこまい

    2023.01.16 22:21

    速報にしては記事が充実していて、とても読み応えがありました。いつもありがとうございます。先日LINE LIVEのお知らせを見たばかりなので、本当に立て続け。国内配信勢の淘汰が進んでいますね。個人的には「クランクイン!ビデオ」も全く話題にあがらないので、継続大丈夫かな?、と心配になります。ABEMAは、相撲、麻雀、将棋など終了時刻にとらわれず、じっくり長時間配信出来るコンテンツを無料で揃えていたことや、亀田氏や雨トーク特別編(謝罪のやつ)など話題性の高いコンテンツで、定期的に短期集中的な注目(盛り上がり)を持たせ続けた点、MLB大谷選手の試合を無料配信した点、UI操作性&配信安定性の高さ、公営博打(競輪)などWinチケットの成功(=ここの利益が大きい)など、あらゆる点で優れているな、と感じます。U-NEXTは決算情報を見るとユーザー数280万人を突破しました。そろそろ300万人の大台も視野に入る勢いであり、一方、WOWOWは下限と思われていた260万人ですら割り込んでしまいました。2023年の動向に、私も注目したいと思います(いつも長文ですみません)。