DAZN、2021年に23億ドルの赤字計上か。

ここに来て、DAZNに関するニュースが連続して入ってきています。ひとつひとつが結構重い内容です。


SportBusinessによると、2021年にDAZNが23.3億ドルの赤字を出したとのこと。ちょっと想像するのも難しい数字です。本業に相当する営業収益は13.6億ドルの赤字とのことなので、残りの9.7億ドルは特別損失ということになるでしょうか。有料記事のため全文が読めず、この先は残念ながら分かりません。


日本だとソフトバンクが巨額の赤字を出したニュースがありましたけど、あれは投資先の株式の価値が下がった分を計上したものであり、いわばバーチャルに近いものです。それに比べると、DAZNには株式や不動産といった資産はあまりないでしょうから、リアルな損失だと言えるでしょう。

昨年5月の時点で、他のメディアが10億ドルの赤字だと報じていたのですが、今回さらに上回ることになりました。これまでの赤字の推移を集めると以下の通りで、分かっているだけでも56億ドル以上の損失を出しています。日本円だと7,000億円を超える規模です。


  • 2018年: 6.6億ドル
  • 2019年: 14億ドル
  • 2020年: 13億ドル
  • 2021年: 23.3億ドル?

2021年末に、DAZNは親会社のAccess Industriesから43億ドルの支援を受け、借金を帳消しにしています。おそらく特別損失はこの処理の際に出たものでしょう。なので、上にあげた赤字はいったんチャラというわけです。


そして2022年、DAZNにどんなことが起こったかは日本の皆さんがよく分かっていることです。値上げ、そしてプレミアリーグの権利喪失です。値上げの波は各国に広がり、巨額の放映権獲得は鳴りを潜めました。2021年12月に落札したラ・リーガのスペイン国内の権利が最後と言えるでしょう。これも競合のMovistar+にサブライセンスを出すことになるわけですが…


このラ・リーガの権利は2021年の決算には入ってないと思われますが、ドイツでブンデスリーガと欧州CL、イタリアでセリエAの権利を獲得しており、これらの巨額な投資が重しとなっていると考えられます。

とにかく赤字体質からの脱却に躍起になっているDAZNですが、今年後半~来年前半にかけての黒字転換をめざしています。また、現在は中断している株式上場についても、2~3年以内に実現させたい意向とのことです。


Access Industriesもこれだけの投資を行っているわけですから、もう少しは様子をみるものと思います。しかし、それでも成果が上がらなかった場合は、決断を迫られることになるかもしれません。


おそらく、2021年の決算書は近いうちにイギリス政府の登記情報サイトに掲載されることになるかと思いますので、アップされたらまた取り上げたいと思います。

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