Jリーグ、30周年でローカル応援番組強化へ。
今年はJリーグ発足30周年ということでさまざまな企画が発表されています。その中に、4月からサッカー応援番組「KICK OFF」を全国で放送開始する、というものがありました。
「KICK OFF」というのは、昨年10月に5つの地域で始まった番組であり、地方局と各県のサッカー協会、そして地元のJリーグクラブが連携して制作・放送されているものです。JリーグのYouTubeチャンネルでも配信されています。この取り組みを全国規模に広げていこうというもので、45都道府県での放送を計画しているとのこと。5→45とはなかなか思い切った施策です。
なお、全国放送という意味ではすでにテレビ朝日系列の「ラブ!!Jリーグ」がありますが、それとはまた別の取り組みになります。こちらはTVerなどで視聴可能です。
DAZNの再度の値上げによって、どのようにファンを増やしていくかがより問われているわけですが、基本的には各地域・各クラブの取り組みによるボトムアップが中心になります。ホームの試合はスタジアムに来てもらい、アウェーはDAZNで観戦する。もともとそういうスタイルを志向していたはずです。「KICK OFF」はその取り組みを中央から支援する役割を果たします。
よく「地上波の放送を増やせ」という声を聞くのですが、全国中継はだんだん難しくなっているのが現状です。そもそもDAZNに放映権が移動する以前から地上波の放送は減っており、2ステージ制とチャンピオンシップを導入せざるを得なかったわけです。
他のスポーツでも似たような声を聞く機会が増えました。具体的にはフィギュアのグランプリシリーズやNBAなのですが、基本的にレギュラーシーズンの1戦を全国中継する意味はもはやなく、プレーオフだったり、何かしら意味のあるカードでないと難しくなっています。NHKがBSでJリーグの放送枠を設けているのは、それだけですごいことなんですね。
DAZNの放映権契約は「日本国内におけるインターネット・モバイル配信、IPTVサービス、有料サテライト放送、CATVなど」となっており、無料の地上波やBS放送は含まれていません。ですから、地方局の放送を増やしていく方向で今後は働きかけていくのではと考えられます。「DAZNのせいで地上波が減った」的な言説をたまに聞くのですが、それは順序が違いますよと否定しておきます。
DAZNとの契約は2028年までであり、もしかしたら前倒しで終了する可能性もあるかもしれません。ポストDAZNの世界を考えるならば、アメリカのRSN(Reagional Sports Network)的な発想も考えられるでしょう。
ローカルのスポーツを専門で扱う有料チャンネルを作り、地元のCATVなどを通じて放送する。そこにはJリーグだけでなく、BリーグもVリーグもリーグ・ワンも、とにかく地域密着型のスポーツに入ってもらうわけです。
折しもアメリカではBally Sportsの破綻が噂されているのですが、これは経営の問題であり、RSNは他にも存在しています。反省すべきところは反省して、ビジネスモデルのいいところを吸収してはと思います。もちろん地方局がそういう存在になってもよいのですが、無料だとなかなか維持は難しいですからね…。
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