オランダのJumboが撤退。牧歌的スポンサーの終焉。
オランダでスーパーマーケットを経営するJumbo(ユンボ)がスポーツのスポンサーから撤退することを発表しました。
Jumboは自転車のTeam Jumbo Vismaのメインスポンサーであり、昨年ツール・ド・フランスを制覇するなど最強チームの地位を確立しています。F1では母国の若き英雄、マックス・フェルスタッペン選手の個人スポンサーです。また、こちらもオランダのお家芸と言えるスピードスケートのナショナルチームも支援しています。
Jumbo社がスポーツに費やしてきた費用は年間2,000万ユーロ(約30億円)を超えているとか。Team Jumbo Vismaについては2024年まで契約を残していますが、新たなメインスポンサーが見つかれば前倒しで撤退する意向を示しています。
昨年、Jumbo社のCEOだったFrits van Eerd氏に詐欺とマネーロンダリングの疑惑が持ち上がり、強制捜査を受けています。これによりFrits氏は辞任。また、Frits氏の父であるKarel氏は昨年12月に亡くなっています。スポーツに熱心だった一家が去り、また本業も低迷していたということで、経営方針の転換を余儀なくされた形です。
国際的なスポーツの数々に投資してきたJumbo社ではありますが、店舗はオランダと隣国ベルギーにしかなく、規模拡大への意欲は薄かったようです。いわば、母国のスポーツを応援したいというある種牧歌的な、そしてある意味スポンサーの原点とも言える行動だったようですが、現在のグローバル化したスポーツビジネスには適していないとも言えます。
自転車界では強くなったチームが選手の年俸高騰に耐え切れず、スポンサーの撤退により崩壊するという皮肉な現象が幾度も観測されています。それだけビジネスモデルが脆弱であることの裏返しなわけですが、情熱だけでは支えきれないというのが現実なのです。
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