DAZN、2023年の黒字転換に接近か。

先日、DAZNがプレミアリーグの英国内の入札に参加するという内容で紹介した記事ですが、それ以外にも注目すべき記述がありましたので改めて取り上げます。


Dazn prepares to enter bidding war for Premier League TV rights with Sky Sports and TNT

https://inews.co.uk/sport/football/dazn-bidding-war-premier-league-tv-rights-sky-sports-tnt-2512221


CFOのDarren Waterman氏のコメントとして、DAZNの現在の有料会員数は2,000万人に達し、2023年の売上は30億ボンド(約38億ドル)を見込んでいるとのこと。


以前の記事で、昨年(2022年)の売上は23億ドルであると発表されていますので、相当な増収となります。今年はELEVENの買収やスポーツベッティングへの参入といった効果もありますが、増収の主な要因はやはり日本を含む各国で値上げを敢行したことでしょう。それでも顧客の大幅な離反は発生していないことになります。


見方を変えれば、大量離反が発生しない程度の水準まで今後も値上げが繰り返される可能性もあるのですが、単純な値上げはいわゆるLTV(顧客生涯価値)を下げることになります。すなわち、長期的な視点で考えないとファン層は拡大せず、将来の売上を食いつぶすわけです。

対する支出ですが、一昨年(2021年)の経費が約27億ドルと推定されます。その後、ラ・リーガのスペイン国内の放映権(年間5億ドル程度?)や、NFL Game Passのグローバル販売権(年間1億ドル程度?)を獲得。さらにELEVEN側の経費も上乗せされることになりますが、念願だった黒字転換にだいぶ近づいているようにみえます。


もちろん、これまでの累積赤字は相当なものであり、親会社であるAccess Industriesから43億ドルの支援を受けています。これを今後返していかねばなりません。損益分岐点を一度クリアすれば、その後は利益がどんどん増えていくはずですから、ここはどうかさらなる値上げは我慢してもらいたいところです。

そして、先日も取り上げた通り、イギリス国内でプレミアリーグの放映権を獲得し、それを手土産としてロンドン市場への株式上場が実現すれば、累積赤字の一層が近づくことになります。今年が最大のチャンスというわけです。最後のチャンスかもしれませんが。

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