甲子園のブラバンに著作権料は発生するか

甲子園はベスト4が出揃った。きょうは休養日なのでちょっとした小話を。

高校野球の魅力のひとつにブラスバンドによる応援があることは言うまでもありません。応援の定番曲から、比較的新しい曲、オリジナル曲などバリエーションはさまざまです。

ある高校が披露した新作が他の高校に伝播して、いつの間にか定番化していったり。「ドラクエ3の戦闘テーマ」とかはそうだったかな。
「あまちゃんオープニングテーマ」はドラマの放送当時に何校かが取り入れてましたが、どうも不思議な攻撃力があるようで、いまでもよく使われています。
(済美高校の逆転満塁ホームランはすごかった…鳥肌立ちました)

で、本題の著作権の話。あの悪名高き?某団体は目を光らせているのでしょうか?

結論から言えば、高校が著作権料を支払う必要はありません。以下の条件を満たしていれば、許諾を得ずに著作物を利用できます。

・営利目的でないこと
・聴衆から料金を徴収しないこと
・演奏家に報酬を支払わないこと

観客は入場料を払っていますが、それは高野連に払っているのであって、出場校に回ってくるわけではありません。
もっとも今後甲子園のスポーツビジネス化が進んで、出場校に分配金が支払われるようになれば解釈が変わるかもしれませんが。(個人的には分配金は出してほしい)

ただし、この権利は演奏権に関するものであり、複製権には及ばないことには注意。例えば演奏風景を撮影してYouTubeにアップする行為は著作権法に抵触する可能性があります。

もうひとつは放送局(NHKとABC)について。こちらも許諾は不要です。「たまたま他の著作物の中に入り込んでしまった」著作物には権利が適用されないのです。あくまでもこれは野球というコンテンツの中継であり、ブラバンの中継ではない、という理屈です。

ただ、放送局はJASRACと「包括契約」を結んでおり、一定の金額を支払えばJASRAC管理の楽曲を自由に使用することができます。
その際、著作者への分配金を決める必要があるので、放送局は使った楽曲のリストをJASRACに提出します。で、ちゃんと分配されてるの?という疑問はこのブログの守備範囲外なので置いといて。

これも将来的に解釈が変わる可能性はありますが、少なくともJASRAC管理曲、すでに著作権が切れている曲、そしてオリジナル曲については問題ありません。オリジナルなら逆に高校側にお金が入るかも?

で、JASRAC未登録の曲については高校側が自ら許諾を取りに行って、利用料を支払う…なんて世界がやがて来るかもしれません。だったらそんな面倒なことをしてまで使いたくないですよね。
評判がいまいち悪いあの団体ですが、こういった手続きを簡素化してくれる意味では役立っているのです。で、分配金は(以下略)

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