大谷選手移籍決定。ドジャースのローカル放映権とは。

大谷翔平選手の移籍先はロサンゼルス・ドジャースと発表されました。10年契約で総額7億ドル。30歳でかつ手術明けの選手にこれだけの条件を提示できるのは凄いとしか言いようがありません。


当ブログは基本的に放映権の話題を取り上げており、ときどきスポーツビジネス全般に話を広げたりもしていますが、MLBの巨額のビジネスモデルについてはいくら勉強しても足りないものがあります。

まず述べておきたいのは、全米向けおよび海外向けの放映権についてはMLBが販売しており、放映権料収入は全球団にシェアされるということです。「大谷選手の獲得は日本からの放映権料が目当て」といった言説がよく見られますが、少なくとも放映権料が直接獲得した球団に入るというものではありません。


もちろん、日本からのスポンサーであったり、関連グッズなどの収入は大きな規模となります。しかし、そこにもレベニューシェアの仕組みがあり、収入の半分近くをMLBに納める必要があります。これによってある程度の戦力均衡をはかっています。

さて、ドジャースのローカル放映権については、ドジャースの親会社にあたるグッゲンハイム・パートナーズと、CATV大手のチャーター・コミニュケーションズの合弁会社である「Spectrum SportsNet LA」が保有しています。


2013年にドジャースとタイム・ワーナー・ケーブルが25年・総額83.5億ドルの契約を結び、翌2014年にSportsNet LAが設立されました。その後、チャーターがタイム・ワーナー・ケーブルを買収し、現在に至ります。この長期契約がもたらす安定感が大きいですね。


1年あたりに換算すると3.34億ドルとなりますが、この総額83.5億ドルには合弁会社の株式など他の価値も含まれており、実際に球団が受け取る金額としては年間2億ドル程度となるようです。


これでも全球団のトップを誇る金額なのですが、SportsNet LAは24時間ドジャースの情報を流している専門チャンネルであり、自前でコントロールできるメディアを持っていることがとても大事な要素です。

ローカル放映権についてはBally Sportsの破綻や、WBDの撤退といったマイナス材料が出てきています。前者は(現所属の)エンゼルス、後者は(移籍先候補だった)マリナーズが関係しており、結果的にはマイナスが少ないところに決まった次第です。


直前になって浮上してきたのが「大穴」とも言えるトロント・ブルージェイズでした。こちらはカナダの大手通信会社・ロジャーズが親会社であり、ローカル放映権もロジャーズが握っているためベールに包まれた存在だったと言えます。


地元の報道では、ロジャーズが持っているカナダ国内のNHLの放映権がこの件に絡んでいると言うのですが・・・正直なところ、カナダ国内の放映権事情までは存じておらず、本当かなぁ?という気持ちです。ただ、NHLの放映権を更新しないことを決定しているのであれば、将来的な計画を立てやすいことは確かです。


これだけの金額が動くとなると、影響範囲もそれだけ広くなります。やはり勉強しなきゃいけないことがたくさんありますね。

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