JプロツアーにJCLのチームが登録。なし崩し的統合か。

自転車ロードレースの国内シリーズ「Jプロツアー」を運営するJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)は、2024年シーズンの出場チームを発表。その中に、もうひとつのシリーズであるJCL(ジャパンサイクルリーグ)に参戦している6チームが含まれていました。

JBCFのプレスリリースではこれらのチームを「地域密着型チーム」と称しており、JCLの文字は一切ありません。ただならぬ雰囲気が漂っています。


ここ数年でどんなことが起こっていたかを短い文章で説明するのは難しいです。噂レベルではいくつか情報が入っているのですが、何らかの意図をもってリークしているものと思われるものもあり、取捨選択が難しくなっています。


また、自転車ロードレースにはふたつの国内シリーズのほか、UCI(国際自転車競技連合)の公認を受けた国際レースがあり、これらのレースにはJプロツアーとJCL両方のチームが参加しています。この複雑な状況をざっくりでもいいので押さえておく必要があります。

JCLは2021年に発足しました。元はJプロツアーに替わる新リーグの発足に向けて、片山右京氏が中心になって話を進めていたのですが、どうやら内部で路線の対立があった模様。片山氏が自ら飛び出す形でJCLが作られています。


2022年には再統合の交渉が始まったと伝えられましたが、その後進捗は報告されておらず、そのまま破談になったものとみられます。今回の動きについても、両者の合意に基づいて行われたものとは考えにくいです。そうであれば、共同で発表がなされるでしょうから。

2023年にはJCLに大きな動きがふたつありました。ひとつは、片山氏が自ら率いる「チーム右京相模原」が「JCL TEAM UKYO」と名前を改め、JCLに参戦するチームではなく、UCI公認の国際レースを中心に活動する方針に切り替えたことです。2024年にはイタリア・ミラノに拠点を設け、ヨーロッパのレースを中心に活動すると発表しています。

もうひとつは、JCLのシリーズとして開催されていたレースをUCI公認レースに切り替える動きが出てきたことです。6月の「古座川国際ロードレース」は残念ながら豪雨の影響で中止となりましたが、11月には「美祢・秋吉台カルスト国際ロードレース」が開催されています。先に書いた通り、UCI公認レースにはJプロツアーの一部チームも参加しています。


JCLのWebサイトには「日本で国際自転車ロードレースを主催し」という文言があります。「国際」の文字が入っているのがポイントで、つまりUCI公認レースを主催することに重点をシフトしています。参加するチームはそれぞれフランチャイズを持ち、地域の中で活動し、またその地域でレースを誘致する役割を担っています。

まだJCLから正式な声明は出ておらず、また、JCL・Jプロツアーともに来年のカレンダーが発表されていないので、詳細は明らかになっていないのですが、今回の動きによってJCLは国内シリーズとしての役割を終えようとしているものとみられます。今年JCLのシリーズとして開催されたレースについては、一部はJプロツアーに移行し、一部はUCI公認レースをめざすことになると思われます。


競技団体における路線の対立というのはしばしば起こります。バスケでは組織が分裂しbjリーグが発足。その後再統合されBリーグが誕生するまでに紆余曲折をたどりました。今年はハンドボールの新リーグ構想が事実上瓦解しました。また、直近のホットな話題であるJリーグのいわゆる「秋春制」についても、正式に決議されたとは言え火種がくすぶっています。


内部の対立を乗り越え、前向きな発展をめざしていけるかが問われます。ロードレース界においては、海外で通用する選手を育成できるか、そしてプロスポーツとしての基盤を構築できるかがカギとなります。それができなければ、競技自体の魅力を失うことになります。

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