【2023年第1位】日本サッカーの放映権問題が続々。電通の影響力低下か

昨年、FIFAワールドカップカタール大会の放映権をABEMAが獲得するという象徴的な出来事がありましたが、今年はサッカーの国際試合の放映権がなかなか決まらず、ついに放送・配信がなくなるといったケースも続出する事態となりました。


まずは2月に開催されたクラブワールドカップ。従来全試合を放送してきた日本テレビが、今回は決勝戦のみの放送となり、他の試合はFIFA+での配信となりました。

7~8月に開催された女子ワールドカップでは、日本だけでなく欧州の主要国でも放映権がなかなか決まらない事態となり、女子スポーツの理念と現実の狭間で駆け引きが続けられました。日本では開幕1週間前になってNHKが日本戦など一部の試合を獲得。他の試合はこちらもFIFA+での配信となっています。

11月にはワールドカップ2次予選・シリアvs,日本の放送がついになくなるという事態に。こちらは放映権がシリア側の管轄であり、シリア側の代理店との交渉がまとまらなかったことが理由ですが、ついにそうなったか・・・という印象が強いです。

そして、12月に開催されたクラブワールドカップ2023では、浦和レッズが出場しているにも関わらず、まったく放送がありませんでした。もともと新フォーマットに移行する予定で、半ば惰性のように開催され続けている大会なだけに、スポットで権利を獲得したところで旨みがなかったとは言えるでしょう。

こういった出来事が続いた理由として、もっとも大きいのは円安でしょう。サッカーに限らず、海外からコンテンツを仕入れるのは段々と難しくなっています。こう書くと、すぐに日本の経済力が落ちた云々と言う人が現れるのですが、国内においても娯楽のコンテンツはいくらでもあるわけですから、まずは国内での競争力が落ちているわけですね。


そして、これまで海外スポーツにおいて大きな影響力を持っていた電通に翳りが見えていることも注視していく必要があります。FIFAと電通の契約は昨年末で終了したとも報じられています。もともと、FIFAに限らず放映権の販売を代理店に任せるのではなく、自ら行っていこうという動きが出てきており、その一環であると考えられます。


それに加え、東京五輪で発覚した汚職によるダメージは大きく、とくに公的な仕事については受注できない状態となっています。電通がこれまで行ってきた仕事については功罪ともにありますが、電通に取って代わる存在がいないこと、これまで育ててこなかったことが現状につながっているわけです。

電通が10%程度を出資していたとされるDAZNにおいても、DAZNが親会社から資金調達をしたことにともない出資比率が低下し、派遣していた取締役も辞任しています。昨年11月には保有する株式の評価損を計上しています。


今後電通がDAZNに影響力を行使することができるかが問われるところです。これはJリーグを始めとして、日本のスポーツ界全体にとって大きな問題に発展する可能性を秘めています。第2位にもDAZNの話題を取り上げましたが、こちらの観点からも2024年のDAZNには注目せざるを得ません。

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