AIによるフェイク記事・記者の跋扈に懸念。

昨年は「生成AI」が流行語となりました。AIに限ったことではありませんが、新しい技術はまた悪用されがちです。


日本では大きな災害が起き、情報の信頼性について改めて考えさせられます。AIによって生成されたフェイクニュースは人々の判断を誤らせ、時には命を奪いかねない危険なものです。


アメリカのスポーツにあける代表的なメディアであるスポーツ・イラストレイテッドでも、昨年AIが生成したとみられる架空の記者による記事が掲載され、その後削除されるといった出来事が起こりました。記者の名前もプロフィールも顔写真もすべて実在しないものだったそうです。

スポーツ・イラストレイテッドは2020年にMaven(現在はThe Arena Group)に買収され、その際にリストラを行っています。The Arena Groupは他にも多数のメディアを保有していますが、その中には生成AIによる記事を掲載しているものもあり、どうやらこちらにも実験を行っていたようです。


The Arena Groupは取引先が書いた記事であるとの見解を示していますが、どうやって記事のクオリティを保つのかが問われます。今後、日本においてもこうしたAIが生成する記事が次第に紛れ込むことでしょう。いつか人間と遜色ないクオリティを獲得するかもしれませんが、それまでの間は粗製乱造が続くことになります。


例えば株価の動きなど、自動的に記事を生成しやすい情報はあるので、そういったところで生成AIは活躍するものと思われます。スポーツにおいてもテキストによる実況などで応用されていくでしょうが、複雑な記事になるとすぐに破綻します。でも、メディアの目的は「質よりも量」なのです。そのほうが検索の上位に表示され、広告料金が稼げるというのが現実です。対策を打たなければ「悪貨は良貨を駆逐する」ことになるでしょう。

昨年はこんな出来事もありました。ESPNが、NBAの選手インタビューをAIを用いて加工し、捏造したというものです。試合直後のインタビューだとして配信された動画が実は過去のものであり、ジャージのロゴが差し替えられてました。ご丁寧にマイクに書かれているロゴもESPNに差し替えられており、他社の映像を拾って勝手に加工していたことになります。


こちらは生成AIではなく、人間の手で行われた不正です。ESPNはこの指摘を受けて直ちに謝罪しています。あえて映像を削除していないのはメディアとしてのプライドでしょうか。

当ブログは基本的に無料で拾える情報をピックアップしているだけなので、偉そうなことはまったく言えないのですが、情報の信頼性については常に吟味して、分かっていることと分からないことはきちんと区別するように心がけています。事実は事実として押さえたうえで、その隙間を想像力によって補うことが、当ブログのテーマである正しい「妄想」につながるものと考えております。

【お知らせ】現在コメント機能が使えない状態です。感想・意見・誤情報のツッコミ等ございましたら、筆者のX(旧Twitter)までお願い致します。 @flower_highway

0コメント

  • 1000 / 1000