タイ政府、W杯をユニバーサル・アクセスから除外。
タイの政府機関であるNBTC(国家放送通信委員会)は、無料放送を義務付けるいわゆる「ユニバーサル・アクセス」の対象からFIFAワールドカップを削除することを決定しました。
タイのユニバーサル・アクセスは2012年に制度化され、放映権を獲得した放送局には地上波・衛星放送・IPTVなど複数のメディアを通じて無料放送を行うことを義務付けています。他に指定されているのは以下の6大会です。
- オリンピック、パラリンピック
- アジア大会、アジアパラ大会
- 東南アジア競技大会、アセアンパラ競技大会
2022年のカタール大会ではタイでの放映権がなかなか決まらず、開会3日前になってようやく決着するという混乱ぶりでした。放映権料は14億バーツと推定され、そのうち6億バーツを政府スポーツ庁が、残りを放送局3社が支出しています。
こうなったのは代理店のinfrontとの交渉が最後までもつれたことが原因であり、ユニバーサル・アクセスの負の側面を示したとも言えます。無料放送が義務付けられているのだから、どこも買わないという選択肢は存在しません。
そして、最終的には公金が使われたわけですから反発も強く、リストから外すべきという議論はこの時点から存在していました。リストに含まれる他の競技はすべてタイの選手が出場していますが、ワールドカップには出場していません。
NBTCは、ワールドカップの商業的意義(commercial significance)を強調するコメントを出しています。裏を返せば、民間でできることは民間でやってください、という意味にもとれます。
また、FIFAはワールドカップの放映権を獲得した放送局に対して200時間以上のサッカー番組を放送することを義務付けていると指摘しています。これは初めて聞いた情報ですね。
この条件はFIFAがサッカーの普及を目的として設けられており、必然的にこれらは無料で放送されるべきものですので、今後もワールドカップが有料でしか観られない・・・という事態にはならないと考えられますが、もしまた交渉がもつれることがあれば、政府が再度介入する可能性は排除していません。またリストが見直される可能性もあるということです。
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