DAZNスキッパー氏、CMスキップ問題にメス。

アメリカDAZNを統括するスキッパー氏のインタビューがウォールストリートジャーナルに掲載。今後DAZNに導入する予定のCMについてコメントしている。

スキッパー氏はライバルであるESPNから引き抜かれた。コンテンツ調達においては競合を知り尽くすキーパーソンとなっている。
彼曰く、既存のテレビ中継では同じCMを何度も見せられ視聴者はうんざりしている。DAZNではこうならない広告モデルを提供する予定だとしている。

CM導入については異存はない。現在のDAZNでは欧州CLでちょこっとCMが流れる程度にとどまり、広告主もCLのオフィシャルスポンサーに限られている。
試合中にいわゆる番宣が流れるのは、映像提供元のほうでCMが入っている時間。この時間を有効活用できれば、売上を少しでも増やすことができる。

テレビCMの効果は、通常リーチ(何人が見たか)とフリクエンシー(何回見られたか)の掛け算で求められる。リーチとはすなわち視聴率なので、CMが流された番組の視聴率を合計したものが指標とされる。これはGRP(Gross Rating Point)と呼ばれている。

視聴率の低下が叫ばれているのは日本もアメリカも同じ。リーチが減った場合、同じGRPを確保するにはフリクエンシーを増やすしかない。
また、アメリカンスポーツはCMを入れやすいフォーマットを追求している。代表的なものとしては、アメフトにおける2ミニッツウォーニングがあげられるだろう。残り2分で強制タイムアウトが入る。これはイコール強制CMタイムでもある。

商品名を記憶してもらうにはある程度のフリクエンシーが必要だが、多すぎると今度はうざがられる。この狭間でテレビCMは模索を続けている。
一方で、webにおいてはフリクエンシーを制限する機能が一般化しており、まずDAZNが念頭に置いているのはここであろうと推測される。

そしてテレビCMが抱えるもうひとつの問題は、本当に見られてるのか?ということ。
録画だと多数の人がスキップする。それゆえにライブ視聴がメインとなるスポーツ中継の価値が高まっている。もちろんトイレなどに行く人はいるだろうけど、録画のスキップに比べたらはるかにマシだ。

もちろんCMそのものの魅力を高めることも大事。スーパーボウルではスポンサー各社が全力をあげてコンテンツを用意してくるのは有名な話。日本でも番組本編と連動させたCMが徐々に出てきている。

ネットではユーザーの興味関心にあわせて広告を出し分けることが普通に行われているが、個人情報の保護がだんだん厳しくなっている。最近やたらとCookieの同意を求められるのはそれに起因している。

その点ではネット広告も曲がり角に来ており、その中において「どんなスポーツ(あるいはチーム)を見ているか」という極めてシンプルなデータの価値が見直されることになりそう。
複雑になりすぎた広告のビジネスモデルがまたシンプルな方向に戻ればDAZNにも勝機が出てくる。スキッパー氏の発言はおそらくそこまで見通してのものだと解釈したい。

ちなみにCMが多すぎるとよく指摘される日本のテレビだけど、民放連の基準で「放送時間の18%以内」とされているのは知っておいてよいかも。1日は24時間しかなく、CMは18%(約259分)しか入れられない。これが民放局の限界なのだ。

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