ツール・ド・フランスは儲かってるのか?
skyの撤退発表によって、改めて自転車ロードレースのビジネスモデルが問い直されている。
チームの収入においてスポンサーへの依存が高いことから、メインスポンサーの撤退がすぐチーム消滅の危機へとつながってしまう。
それに対するアイデアはいろいろ試されているけど、やはり「放映権料の一括管理と分配」というのが今後のキーポイントになりそうで、そこで出てくるのがツール・ド・フランスなどを主催するASOへの批判。ASOは儲けすぎではないか、賞金以外においてもチームに収益を分配するべきではないか、という意見はちょくちょく聞かれる。
ということで、出てきた記事をひとつご紹介。2009年の記事なのでちょっと古いけど、参考にはなるでしょう。要点をいくつかつまみ食い。
●ASOの収入のうち、70%がツール・ド・フランスによるもの。
●ASOの親会社であるアモリ・グループは2007年に3900万ユーロの利益をあげており、そのうち2900万ユーロはASOがもたらした。
●ツール・ド・フランス、パリ~ルーベ以外のレースは赤字。
ASOがもたらした2900万ユーロというのが連結決算のことなのか、それとも配当金のことなのかが不明確だけど、少なくともこの金額以上の利益を出していると考えてよいだろう。
ASOが主催する大会にはパリ・マラソンやダカール・ラリーがある。前者は世界的なランニングブームもあって儲かってそうだし、逆に後者は南米での開催に移行してからあんまり儲かってなさそう。(あくまでもイメージ)
あと、ブエルタ・ア・エスパーニャの運営会社を買収しているため、ツールのノウハウをきちんと注入すれば収益拡大につなげられるはず。
なお、2015年のASOの利益は4700万ユーロだったとのこと。例のジロ・デ・イタリアの放映権について書かれた宮本あさかさんの記事に書いてあった。8年の間隔を経て、おそらく利益は増えているものと思われる。
でも出場22チームに対して均等に分配金を出すとしてもせいぜい100万ユーロとかですかね。年間の活動資金としてはまだまだ足りない。そういう意味ではASOはもっと儲けていいようにも思う。
要するにツールの力が強すぎる。これが伝統の重み。だからUCIとケンカもできるし、チームが集団ボイコットすることもおそらくない。
そして、強みは弱みでもある。スキャンダルによってツールのブランド価値が毀損すればたちまち窮地に陥る。今年もフルームの出場について直前までいろいろあったけど、自らのブランドを守ろうとASOが必死に動くのは当然のこと。
今後のシナリオとしては…まぁいくつか考えられるのだけど、宮本さんが指摘するようにASOがRCSを買収して、3大グランツールをすべて手中に収める可能性は充分ある。次の大きな動きはそこからではないかと。
で、それと並行して他のレースの主催者やチームがそれぞれに模索を続けることになる。どうにしろ業界全体で考えないと次の一歩には進めないでしょう。
以上、すべて妄想でお送りしました。
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