高野連が7イニング制検討。時短への思惑いろいろ。

高野連(日本高校野球連盟)が、将来的に「7イニング制」を導入する可能性を検討するためのワーキンググループを設置したことは賛否両論、おおいに議論を呼んでいます。


高野連=頭の固い連中、というイメージを持っている人のほうが頭が固いのかもしれません。最近は酷暑対策ということで、タイブレークやクーリングタイム、そして今年からは昼夜2部制など次々と新たな試みを導入しています。7イニング制はすぐには実現しないでしょうが、内部でこういうアイデアが上がってくるというのは大事なことです。

当ブログでも4年前に、MLBがダブルヘッダーに限り7イニング制を導入するという記事を書いたことがあります。この時はコロナ禍によりシーズン開始が遅れに遅れ、過密日程を消化するためにやむなく導入されたのですが、それでもMLBが100年以上の伝統をうち捨てても導入したことに驚いたものです。


7イニング制以外でも、申告敬遠やワンポイントリリーフ禁止、そしてピッチクロックと矢継ぎ早に時間短縮を目的としたルールが導入されているのはご存知の通りです。

WBSC(世界野球ソフトボール連盟)は、2020年からU-23以下の国際大会において7イニング制を導入しています。こちらは選手の負担を減らすほか、上記MLBの例と似ていますが国際大会は過密日程になりがちなため、負担軽減の意味もあります。


また、選手層が薄いチームでも7イニング制であれば登録する選手数が減るため参加しやすくなります。主催者にとっても大会の規模をコンパクトにすることができます。また、番狂わせの可能性も増え、競技性が増すことを期待しているようです。


MLBとWBSCに共通しているのは、他競技との競争です。試合時間を短縮することにより、MLBはNFLやNBAなど他のプロスポーツとの競争力を確保したいと考えています。WBSCも同様に、世界への普及を進め、競技人口を増やしたいと考えています。

次回2028年のロサンゼルス五輪では野球/ソフトボールが追加競技として復活しますが、それ以降の保証はありません。ソフトボールはもともと7イニング制ですが、追加競技として採用されるために、WBSCは野球も7イニング制で実施する提案をしていたとのことです。


IOCはテレビ映えする競技を増やしていますし、競技ごとの参加枠を減らす傾向にあります。7イニング制であれば1試合2時間程度で終わることが期待できますし、選手数も減らせるというわけですね。


なんでもかんでも日本で取り入れるべきとは言いませんけど、ある程度は国際ルールに合わせる必要はあるでしょうし、選手の負担軽減、そして野球そのものの競争力確保は共通した課題です。甲子園の酷暑対策という観点から大きくクローズアップされてしまった7イニング制ですが、それだけでなくさまざまな観点から検討すべき重要な課題と言えます。

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