【東スポ】リーグ・アン次期会長候補が値下げ要求?
東スポがここ数日、リーグ・アンの記事を出しています。フランスの現地の記事を適当に翻訳したものですが、さすが東スポ、PVの稼ぎ方を心得ています。DAZN叩きを入れておけばそりゃPVは伸びますよね。
しかし、今回DAZNは期限ぎりぎりまで粘り続けて放映権を獲得したわけですから、めちゃくちゃ高値をつかまされたわけではありません。リーグ・アン側も昨シーズンまでの年5.8億ユーロから、年5億ユーロに下がってしまったので損をしている状況です。
また、DAZNだけでなくbeIN Sportsも放映権を持っているわけですから、DAZNだけを叩いても仕方ありません。そういう意味でも適当な記事と言えます。ちなみにDAZNが年4億ユーロ、beIN Sportsが1億ユーロを負担しています。
今回の翻訳元は、RMC Sportの以下の記事だと思われます。リーグ・アンを運営するLFPは、9月10日に次期会長選挙を控えています。現職のヴィンセント・ラブルーネ(Vincent Labrune)会長の対抗馬として立候補を予定しているシリル・リネット(Cyril Linette)氏が他のメディアのインタビューに答えた発言が記事にされています。
さらに元ネタをたどると、インタビューを行ったのはル・モンド(Le Monde)紙であることが分かります。残念ながら有料記事のため、その全容を把握することはできませんでした。
さて、記事によるとリネット氏はリーグ・アンの高額料金を嘆き、「全試合を月額15~20ユーロで視聴」できるのが適正な価格だと主張しています。もちろん、次期会長候補としてのリップサービスが含まれているであろうことは想像できます。
東スポはこの発言を引用して「DAZNに値下げ要求」だと書いていますが、リネット氏は「全試合」と言っています。DAZNだけでは全試合視聴することはできませんから、この発言はDAZNだけでなく、もう1社のbeIN Sportsに対しても向けられています。
毎節9試合のうち、DAZNが8試合、beIN Sportsが1試合の権利を持っています。beIN Sportsは隔週で1番目または2番目の試合選択権を持っていますので、好カードを視聴したければ両方に加入せざるを得ません。
料金はDAZNが月額39.99ユーロ(年間契約だと29.99ユーロ)、beIN Sportsが15ユーロです。つまり、全試合視聴するためには45~55ユーロが必要です。リネット氏の主張は、これを1/3程度にするというなかなか過激なものです。
もちろん、放映権料がそのままで料金が下がるはずがなく、リーグ・アン側も痛みを分かち合う必要があります。東スポの記事では触れていませんが、リネット氏は「クラブの人件費を30%カットする」という大胆な提言を合わせて行っています。
もちろん、これによってリーグ・アンの競争力は落ち、人材が他のリーグに流出することは避けられませんが、放映権料の際限なき上昇を招いているのは人件費や移籍金であることは間違いないのですから、これは正論でしょう。
リーグ・アンの放映権をめぐる話題については、前回のサイクルまでさかのぼって触れる必要があります。前回の落札者だったMediaproは、新たなチャンネル「Telefoot」を立ち上げましたが、コロナ禍に重なる不運もあり撤退に追い込まれます。Telefootの料金は月額25.90ユーロでした。
この失敗がありながら、リーグ・アン側は今回のサイクルで8億ユーロを目標に掲げていました。実際は5億ユーロに終わったわけですが、もし満額を勝ち取った場合、料金設定をどのように想定していたのでしょう。正直見通しが甘いと言わざるを得ません。
Telefootの失敗を教訓とした場合、DAZNは料金設定をどうすべきだったのか。理想は25.90ユーロよりも安い水準となりますが、この数年で物価も上昇していますので、同程度かちょっと高いくらいであれば許容範囲かと思います。月額39.99ユーロはさすがに高いと思いますが、年間契約で29.99ユーロというのはなかなか微妙な線です。
契約数の目標は150万人となっています。顧客単価を年間360ユーロ(29.99×12)と仮定すれば、150万人の契約で5.4億ユーロとなります。そこから放映権料4億ユーロと諸経費を差し引くと、利益が出るかどうかはギリギリといった感じです。もちろんCMなど他の収入源をどれだけ確保できるかにもかかってきます。
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