NPB、写真・動画撮影の規定を公開。
NPB(日本野球機構)は、12球団統一となる「写真・動画等の撮影及び配信・送信規程」を公表しました。来年2月から施行されるとのことです。
これまで統一されたものがなかったのか・・・という印象ですが、これについて放映権の絡みではないか、といった声がSNSであがっているようです。もちろんYESなのですが、そもそも放映権とは何かという話になりますので、当ブログなりに補足しておきます。
放映権は法律で定められている権利ではありませんが、「施設管理権」や「肖像権」などいくつかの権利が複合されたものと考えられています。球団が主催する試合において、撮影をどこまで認めるかは施設管理権の範疇となります。また、最近は盗撮や誹謗中傷の問題も深刻になっていますので、肖像権ももちろん絡んでくると言ってよいでしょう。
映画や演劇であれば全面撮影禁止なのが当然です。スポーツの場合、試合そのものの内容については保護しつつも、その空気や感動を広く共有することも当然大事なのですから、どの範囲まで認めていくかが問われます。
スポーツ報知の記事では、NPBからの以下のコメントが掲載されています。撮影についてはなるべく認めていきたいという方針のようですね。もちろん、それを公開したり、さらにライブ配信しようとしたりする場合には制限がかかるわけですが。
『人格権』『平穏観戦権』を侵害しない範囲であれば、撮影に関する制限はありません。選手の好プレーシーンや魅力的な球場演出などは、時間の長さを気にすることなく撮影・録画して構いません
NPBのサイトには全文が掲載されていますが、あえていちばん最後の項目を取り上げてみたいと思います。
(1)は主催者が承認した場合、すなわち放映権を持ち中継を行う者や、取材を許可されたメディアについてはこのガイドラインが適用されないことを示しています。これは「施設管理権」の意味そのものと言ってもよいかと思います。
(2)は不特定多数に向けたものではなく、また非営利のものであれば構わないと言っているわけですね。裏を返せば、問題となるのは不特定多数に向けて公開した場合、または営利目的の場合ということになります。
「試合データ」が定義されていることも議論の的になっているようです。これはいわゆるスパイ行為を念頭に置いたものと解釈することもできそうですが、一般的にはスポーツナビの「一球速報」が発信しているレベルの内容のように思われます。複数の論点が絡むと途端に難しくなってきますね。
もちろん、一球速報自体はこれまで何も問題にはなっていません。ただ、同様の情報をライブ配信に組み込んだ時に問題となるケースはあるのかもしれません。これは、将棋における「評価値配信」と似たようなものを感じます。
棋譜は著作物ではないという判決が出ていますし、試合データもおそらく著作物ではないと思いますが、それらを組み合わせて対局(試合)を再現することがどこまで許容されるのか。実際に放送で流されている映像や音声を使えばもちろんアウトですが、このあたりは、今後より具体的なガイドラインが作られていくことになるのでしょうか。
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