英ユニバーサル・アクセス、配信も対象へ。

今夜開催されるサッカーワールドカップ予選・バーレーンvs.日本戦はDAZN独占配信となっており、またぞろ「ユニバーサル・アクセス権」に関する声が聞かれる季節となってまいりました。


ユニバーサル・アクセス権とは国民にとって価値の高いスポーツイベントを公共財と定義し、国民にはそれらを無料で視聴できる権利があるということで、指定されたイベントは放送局が無料で放送する義務を負います。


イギリスでは、国民の95%以上が視聴できるテレビ局がその対象として指定されていますが、先日その改正案が示され、テレビ局だけでなくストリーミングサービスもその対象に含まれることとなります。テレビ離れが進む中で必要な措置と言えるかと思います。

イギリスで放送・通信を管轄するOfcomが指定しているスポーツイベントは、通称「クラウンジュエル」と呼ばれています。カテゴリーAとカテゴリーBに分かれており、カテゴリーAは無料での生中継が義務付けられています。カテゴリーBはディレイまたはハイライトの放送が義務付けられており、生中継は義務ではありません。


サッカーを例にとると、ワールドカップやEURO、FAカップの決勝戦などがカテゴリーAに指定されています。また、ワールドカップ予選はカテゴリーBに指定されています。ですから、イギリスであってもワールドカップ予選は生中継が義務付けられているわけではないことにご注意ください。

ただ、それとは別に人気のある試合であれば無料で生中継されるわけです。民放局のITVが今シーズンからUEFAと4年契約を結び、ワールドカップ予選やネーションズリーグなどを無料で放送しています。


また、ITVはイングランド協会(FA)との契約で、FA主催の親善試合についても放送します。親善試合はとくに指定されているわけではありません。

イングランド以外の代表戦(スコットランド・ウェールズ・北アイルランド)についてもクラウンジュエルには指定されていません。放映権はスウェーデンの配信サービス・Viaplayが獲得していましたが、Viaplayはイギリス市場から撤退したため、以前Viaplayが買収していたPremier Sportsに戻される形となっています。


【追記 9/11】

Premier Sportsが再度売却された際、Viaplayが保有しているUEFAとの放映権契約は対象に含まれていなかったとのことです。ここに訂正します。


先日開催されたネーションズリーグについては、スコットランドと北アイルランドの試合はITVに、ウェールズの試合はウェールズ語放送局のS4Cにサブライセンスされましたが、他国の試合についてはサブライセンスが成立せず、ViaplayのYouTubeチャンネルで配信されたとのこと。この件については後日改めて記事にします。

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