果てしなく続く遅延の戦い。
デジタル放送サービスには遅延(レイテンシ)の問題が必ずつきまとう。送信側で動画をエンコードし、受信側でデコードする。この時点で1秒は遅延する。衛星中継であれば上空36,000kmにある静止衛星に電波を飛ばし、受ける時間も発生する。
そこにインターネットが加わると、多数のユーザーに対して一斉にデータを送信する必要があるわけで、遅延はさらに増加していく。サービスによってまちまちだが、OTTサービスであればおおむね30秒~1分程度の遅延は覚悟せねばならない。
いちばん早く情報が入手できるのはもちろん会場にいた人たち。彼らがツイートした内容が先に出てしまうのはやはり興ざめ。また、近所の人が自分よりも先に大歓声をあげていたらそれも興ざめ。レイテンシとの戦いは今後も果てしなく続く。
遅延が発生する仕組みについては、CDN大手のAkamaiがわかりやすく説明しているので、こちらを紹介しておきます。
さて、毎年9月にオランダで開催されるIBCという展示会がある。International Broadcasting Conventionの略で「国際放送機器展」と訳されているが、もはや放送と通信の垣根はほぼなくなっており、OTTサービスの技術に関する展示が多かったとのこと。そんなレポートがNHK放送文化研究所のサイトで紹介されていた。
テレビ放送を同時にインターネットでも配信すること(サイマル放送)を行っている国は多いが、日本においてはNHKが乗り気で民放が反対している状況。「NHKにより民業圧迫」がその理由とのことだが、実際のところ権利処理が大変だという事情もある。
ラジオでは民放主導で作られたradikoにNHKが相乗りする形になったのだが、テレビでは民放が各自で努力している状況。権利処理が済んだものだけがアップロードされていく。
ちょっと話がそれたけど、上記のレポートによると、イギリスBBCが開発中の技術では4K画質のストリーミングにおいてレイテンシを4秒にまで短縮できているとのこと。少なくともこのあたりの技術はさまざまなサービスで共有されていくべきだろう。
ということで、結論としては会場で見るのが最高ということで。その次に早いのは、実はアナログラジオだったりします。
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