「ニコ生」将棋担当がテレ朝のインタビューに登場。
現在、将棋の中継といえばABEMAが真っ先に思い浮かぶ存在となっていますが、それ以前はニコニコ生放送でした。ニコ生の将棋界への貢献は計り知れず、現在では当たり前となった対局のライブ配信を積極的に手がけ、AIと人間との対決→共存への道を開き、8番目のタイトル戦「叡王戦」を創設しました(現在は不二家が主催)。
現在、ニコ生で配信される将棋コンテンツはごくわずかとなっていますが、ニコ生で将棋番組のディレクターを務めていた月田拓氏のインタビューが「テレ朝news」に掲載されています。言うまでもなく、ABEMAはテレビ朝日とサイバーエージェントの合弁会社であり、テレビ朝日がインタビューを行ったということは、敵に塩を送ったと解釈すべきなのか。それとも、実質的な勝利宣言だと解釈すべきなのか。謎は深まります。
内容としては、AIによる「評価値」の表示が始まったきっかけが中心となっています。当時はまだ「AI vs. 人間」のフェーズであり、AIの出す評価値は参考意見のひとつとして受け取られてきました。しかし、現在は共存のフェーズへと移り、AIの評価値はより信頼性を高め、絶対的なものとして受け取られつつあります。
もちろんその弊害もあります。評価値は手を指すことによって下がることはあっても、上がることはないため、下がらない手が「最善手」となり、それ以外の手はすべてミスと受け取る人も増えてきました。実際には相手のミスを誘う人間らしい手も多くあり、それが将棋の魅力だと言えるのですが、プロ棋士へのリスペクトを欠く発言も目立つようになりました。
月田氏は、評価値を常時表示するのではなく、自らの判断で必要なタイミングのときのみ表示するようにしていたと語っています。これは、現在常時表示させているABEMAへのアンチテーゼと言えるものです。
最近はスポーツ界全体で誹謗中傷への対策が問題となっています。プロの技を分かりやすく見せる手法は今後も進化していくでしょうが、誰でも気軽に意見を発信できる時代であるがゆえに、誹謗中傷も増えていくことになります。これは競技の垣根を超えて取り組むべき問題です。
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