「評価値放送」で囲碁・将棋chが逆転勝訴。

YouTubeでよくライブ配信されている将棋の「評価値放送」とは、棋譜とAIの評価値を組み合わせたものですが、この評価値放送をめぐって争われていた裁判に進展がありました。


昨年1月に大阪地裁が出した判決では、被告の囲碁・将棋チャンネルが原告であるYouTuberに対し118万円の損害賠償の支払いを命じていましたが、二審の大阪高裁はこの判決を取り消し、原告の訴えを棄却しています。

囲碁・将棋チャンネル側がYouTubeの動画の削除を申請し、YouTubeがそれを認めたことがきっかけでした。原告は動画の削除によって失われたとされる収益を損害賠償として請求しましたが、今回それは認められなかったことになります。


詳細はまだ判決文が出ていないため不明ですが、棋譜が著作物であるかどうかについては論点になっていないとのことです。その場合、削除申請の理由に正当性があったかどうかも考慮されるものと思われるのですが、今後専門家による解説が待たれるところです。


また、囲碁・将棋チャンネル側が反訴する可能性もあるかと思います。その場合は、評価値放送によってどれだけ客が離れたかを算定することになるのですが、著作権以外の理由でどのように論理立てていくことになるでしょうか。

囲碁・将棋チャンネルが放送している棋戦のひとつである王将戦は、先日毎日新聞とスポニチが主催から外れ、日本将棋連盟が自ら単独で主催すると発表されています。もちろん新聞業界が苦しいという理由が最初に来るのですが、現在は棋戦ごとに独自で定められている「棋譜利用ガイドライン」の見直しにつながるものとみられます。


棋譜は著作物ではない、という見解にはある程度納得できる部分があるものの、同時にモヤモヤ感を覚えることも事実です。法律のグレーゾーンを突く行為というのは最近あちこちで問題になっています。窮屈さを感じつつも、世の中がどんどん多様性を増していく中で、異なる価値観が衝突するのは避けられず、裁判で解決していくのは仕方ありません。いまはそういう世の中になってしまったということを受け入れていくしかなさそうです。

【追記 2/3】

MBSが結構詳しい記事を載せていたので、参考として追記します。

MBSといえば、女流棋士の室田伊緒さんと結婚し、退職後司法試験に合格した森本尚太元アナウンサーを思い出します。この記事に関係しているかは分かりませんが。

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