リーグ・アン、マックのおまけに。

DAZNが放映権料の一部支払いを拒否するという強硬手段に出たリーグ・アンですが、いったんDAZNが支払いに応じたことで矛を収めた形です。といっても、根本的な問題はまったく解消されておらず、休戦状態となったにすぎません。


今シーズンからリーグ・アンの冠スポンサーとなったマクドナルドも、リーグの人気低下には目をつぶるわけにはいきません。最近になってDAZNとの共同キャンペーンを開始しています。平日(月~木曜)限定で「ゴールデン リーグ・アン マクドナルド」と称されるセットメニュー(14ユーロ~)を提供し、購入した人には今シーズン末までDAZNが視聴できるクーポンを進呈します。(先着12万名限定)

シーズン開始当初は月額39.99ユーロ(年間契約で29.99ユーロ)という価格を設定していたDAZNですが、今年2月には4か月で69ユーロというプランを投入。そして、今回ついにマックのおまけと化したことになります。

DAZNが抱えている不満として、違法視聴への対策が不十分であることや、クラブ側が非協力的であることもあげられています。これに呼応する形で、リーグ・アンに所属する全クラブが参加して違法視聴のストップを呼びかけるメッセージを作成しています。


フランスの通信行政を統括するARCOMも批判にさらされており、週末は仕事をしてないのではと揶揄されるほどです。違法視聴対策についてはスポーツ大臣や上院議員も動いているとのことで、違法配信者を速やかに摘発し、処罰できる制度を作ろうとしているそうですが、これも実際に効力を発揮するにはもう少し時間がかかりそうです。

どうにしろ、今シーズンが終わる頃には休戦状態も終了し、放映権問題が再燃することは必至です。リーグ側はシーズン終了後にDAZNに請求する予定の1.4億ユーロを保留としており、これをいわば「手切れ金」とする形でDAZNとの契約解除を選ぶ可能性もあります。

ただ、DAZNとの契約を解除したところで、それを上回る買い手が出てくることはありません。以前リーグ・アンの権利を持っていたCanal+に期待する声もあるようですが、これまでの経緯から関係は悪化しており、復縁は難しい状況です。DAZNがフランス市場に参入する際にCanal+と提携を結んでいますが、要するにDAZNが権利を持っている状態はCanal+にとっても望ましいのです。


そうなると、リーグが自ら配信サービスを運営する可能性もありますが、DAZNが目標としていた150万件の契約を獲得できるプランはまずありません。もちろん、自らリスクをとり、その範囲で慎ましくやっていくということであればそれでよいのですが。

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