電通有報、DAZNの記述消滅。Fビレッジは順調。

当ブログでは毎年チェックしているのですが、先日公開された電通グループの有価証券報告書(2024年12月期)に関する話題です。


昨年の報告書では、グループ傘下のGlobal Sports Investments社(以下GSI)を通じて保有しているDAZNの株式について、金融資産としての価値が実質消滅したことが記載されていました。今年の報告書では、ついにDAZN関連の記載は無くなっていました。

該当の箇所は117ページとなります。DAZN以外では「球場運営業務関連銘柄」という記載があります。これは昨年から登場したものですが、エスコンフィールドなどを含む「Fビレッジ」の運営会社である株式会社ファイターズスポーツ&エンターテイメント(以下FSE)を指します。電通グループはFSEの株式16.67%を保有しています。


FSEの2024年末時点での価値は38.79億円で、前年の29.47億円から3割ほど上昇しています。まだ開業して2年ほどではありますが、Fビレッジの経営は順調に推移していると言えます。非上場企業なのであくまで参考値ですが、時価総額は約232億円という計算になります。

DAZNの話に戻りますが、これまで電通が公表していた株式の価値は以下の通りです。電通はDAZNに400億円規模の投資を行い、株式の10%程度を取得したとされます。


  • 2017年末: 53.63億円
  • 2018年末: 477.95億円
  • 2019年末: 482.41億円
  • 2020年末: 535.72億円
  • 2021年末: 370.35億円
  • 2022年末: 65.12億円
  • 2023年末: 報告書の表記では「-百万円」
  • 2024年末: 報告なし


2020年までは順調に市場価値を増やしてきましたが、コロナ禍により一時経営が傾くほどのダメージを受け暗転します。そして、2021年末には親会社であるAccess Industriesから43億ドルの資金援助を受けました。この際に発行された新株によって、電通グループの持株比率は大きく低下したのです。


2022年11月、電通グループは323億円の評価損を計上。この年の報告書では金額が大きく減少しています。そして、2023年の報告書では「-百万円」という表記となり、事実上価値が消滅したのです。

昨年7月にDAZNが公表した株主リストによると、GSI社の保有分は約4,000万株で、比率は約3.6%でした。最近ではオーストラリアのFoxtelを一部株式交換によって買収。そして、サウジ系の投資ファンド・SURJがDAZN株式の約10%を取得しており、GSI社の比率はさらに低下しているか、もしくはすでに売却されているものと推測されます。

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