リーグ・アン、仏国内放映権のまとめ

2016-17~19-20シーズンの契約

大手衛星放送のCanal+(カナル・プリュス)と、カタール資本でパリ・サンジェルマンと同じ系列にあたる有料チャンネル・beIN Sportsの2社が取得。


  • Canal+
    • 4年総額21.6億ユーロ (1年あたり5.4億ユーロ)
    • 毎節10試合のうち主要3試合を独占生中継
  • beIN Sports
    • 4年総額7.46億ユーロ (1年あたり1.87億ユーロ)
    • Canal+独占以外の毎節7試合を生中継
  • 合計
    • 4年総額29.06億ユーロ (1年あたり7.27億ユーロ) 


契約最終年にあたる2019-20シーズンの途中でコロナ禍が発生。2020年3月13日にリーグは中断され、4月28日に打ち切りが決定した。その時点で1.3億ユーロの放映権料がまだ支払われていなかったが、Canal+とbeIN Sportsはそのうちの一部を支払うことで決着。

2020-21~23-24シーズンの契約

スペインの代理店・Mediaproが参入し、beIN Sportsとともに落札。Mediaproは有料チャンネル「Telefoot」を立ち上げ、その中でリーグ・アンを放送する意向。

Canal+は長年継続してきた放映権をいったん失うこととなったが、後にbeIN Sportsとサブライセンス契約を結ぶことで放送を維持した。


  • Mediapro (Telefoot)
    • 4年総額31.2億ユーロ (1年あたり7.8億ユーロ) ※32.5億ユーロとする報道もあり
    • 毎節10試合のうち8試合を生中継
  • beIN Sports (Canal+にサブライセンス)
    • 4年総額12.8億ユーロ (1年あたり3.2億ユーロ)
    • 毎節10試合のうち2試合を生中継
  • 合計
    • 4年総額44億ユーロ (1年あたり11億ユーロ)

2020-21シーズン: 1年もたずMediaproが撤退

「Telefoot」の契約数は伸び悩み、目標350万件に対して60万件程度しか獲得できていないと報じられる。月額25.9ユーロに設定された料金が高すぎたか。


また、Mediaproはコロナ禍によるスポーツの中断によって経営的にもダメージを受けており、2020年10月に予定していた放映権料の支払いを拒否。減額を求めた。12月には結果として、Mediaproが1億ユーロを補償金として支払うことで決着。契約は解除され「Telefoot」は閉鎖されることに。残りのシーズンはCanal+が暫定的な契約を結んで放送した。

 

結果として、当初予定されていた放映権料は11億ユーロだったが、6.2億ユーロの収入にとどまり、前年までの金額を下回ることとなった。


  • Mediapro (Telefoot): 1億ユーロ(補償金として)
  • Canal+: 2億ユーロ (暫定契約)
  • beIN Sports: 3.2億ユーロ (Canal+にサブライセンス)
  • 合計: 6.2億ユーロ

2021-22~23-24シーズン: 再入札でAmazon参入

Mediaproの撤退により、残り3シーズンの放映権について再入札が行われることとなった。beIN SportsとCanal+は自らが保有する権利についても再入札するよう求めたが却下され、Mediaproが放棄した権利のみが対象となった。


その結果、Amazonが落札したが、金額は7.5億ユーロ(1年あたり2.5億ユーロ)にとどまり、Mediaproの年間7.8億ユーロから1/3以下の水準となった。


これにより、beINとCanal+のほうが試合数が少ないにも関わらず、金額が上回る逆転現象が発生。Canal+はbeINに対してサブライセンス契約の解消を求め提訴したが敗訴。さらにリーグ・アンへの提訴も敗訴となり、Canal+にとっては不本意な放送を続けざるを得ない事態となった。


  • Amazon
    • 3年総額7.5億ユーロ (1年あたり2.5億ユーロ)
    • 毎節10試合のうち8試合を生中継
  • beIN Sports (Canal+にサブライセンス)
    • 前年からの契約継続中。3年総額9.6億ユーロ (1年あたり3.2億ユーロ)
    • 毎節10試合のうち2試合を生中継
  • 合計
    • 3年総額17.1億ユーロ (1年あたり5.7億ユーロ)

2024-25~28-29シーズンの契約

2023年8月、DAZNがフランス市場に本格参入。Canal+と提携し、両社のコンテンツを相互に融通。その結果、DAZNでもリーグ・アンが視聴できるように。


翌9月には次期放映権の入札要項が公表され、5シーズンになることが判明。Canal+はこれまでの仕打ちに嫌気がさしており、入札に参加しないことを表明した。よって、Canal+と提携したDAZNが有力候補として浮上することとなる。

リーグ・アン側は5年総額40億ユーロ(1年あたり8億ユーロ)を目標としたが、そんな金額で入札する業者が現れるはずもなく、入札は不成立に終わる。


交渉は長引き、リーグ側は独自のストリーミング配信を開始することも検討したが、シーズン開始の約1か月前にようやく決着。DAZNとbeIN Sportsの2社に決定した。


  • DAZN
    • 5年総額20億ユーロ (1年あたり4億ユーロ) ※3.75億ユーロという報道もあり
    • 毎節9試合のうち8試合を生中継
    • 2025年12月に契約を解除できるオプションあり
    • 逆に契約数が150万件に達した場合は5,000万ユーロのボーナスを支払う
  • beIN Sports
    • 5年総額5億ユーロ (1年あたり1億ユーロ)
    • 毎節9試合のうち1試合を生中継
    • 対象試合では、全クラブのユニフォームに「Visit Qatar」のロゴを付ける
  • 合計
    • 5年総額25億ユーロ (1年あたり5億ユーロ)

2024-25シーズン: 今度はDAZNと決裂へ

DAZNはリーグ・アンの配信開始にあたり、料金を月額39.99ユーロ(年間契約で29.99ユーロ)に設定したが、かつての「Telefoot」よりもさらに高い設定であり、物価高を考慮しても割高感は否めない水準と言える。契約数も伸びず、目標150万件に対し50万件程度だと報じられる。


また、契約に至るまでのプロセスでクラブとの関係がぎくしゃくしており、DAZNはプロモーションにおいてクラブからの協力が充分に得られていないと不満を持っていた。さらにDAZNが不満だったのは違法視聴が蔓延していることで、DAZNが本社を置くイギリスと比較してフランスの対策は不十分であると非難している。


2025年2月15日、DAZNは支払いを予定していた7,000万ユーロのうち、半分の3,500万ユーロを拒否。双方が提訴する事態に。交渉の結果、2月末に支払われることとなったが両者の亀裂は決定的となった。

その後、パリの商事裁判所で調停案が作成され、リーグ側は受け入れを表明したが、DAZNは拒否している。

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