羽生会長最後の大仕事。ヒューリックが賞金増額。
日本将棋連盟と、不動産開発を手がけるヒューリックが共同で記者会見し、「ヒューリック杯棋聖戦」と「ヒューリック杯白玲戦」の優勝賞金を4,000万円に引き上げると発表しました。さらにヒューリックから特別賞として1,000万円が贈られます。
現在タイトル戦でもっとも優勝賞金が高いのは竜王戦の4,400万円です。棋聖戦の賞金は非公表ですが、8大タイトル戦でもっとも契約金が低く、600~800万円程度とされます。特別賞と合わせればそれを上回ることになりますが、おそらく最高権威たる竜王戦に配慮したものと思われます。契約金では8番目から6番目に昇格するとのことです。
白玲戦の優勝賞金は女流棋戦としては破格の1,500万円と公表されていますが、今回の発表によってさらにぶっちぎる形となります。
さらに、白玲位を5期獲得すると与えられる「クイーン白玲」の称号に大きな特典がつくことになりそうです。羽生会長は、クイーン白玲には棋士編入試験を受けることなく、四段(フリークラス)になる権利を付与する案を示しました。6月の棋士総会で承認されればという条件付きですが、編入試験に合格できなかった西山白玲(3期獲得)や、里見女流五冠(白玲は1期獲得)に新たな道が開かれます。
賛否両論ありそうですが、これはこれで結構厳しい道だと思います。資格を得るまでの過程はあるにしろ、五番勝負で決まってしまう編入試験はその時の調子や対戦相手に左右されがちで、個人的には短すぎだと感じています。そして、今回用意された新たな道は最低でも5年を要する長い道です。
実質的に権利がありそうなのは二人に加え、昨年奨励会三段リーグから転じた中七海女流三段ということになりそうですが、もし順位戦D級からスタートということになると、白玲を獲得するまで4年、さらに防衛4回の計8年を最低でも要することになります。
羽生会長は6月の棋士総会で、理事に立候補せず退任することを表明しています。わずか1期2年でしたが、将棋連盟発足100周年という節目に、東西の将棋会館移転という大きなプロジェクトを完了させるなど、大きな貢献を果たしたと言えます。その間に実力は若干鈍ってしまった感は否めず、また再度腕に磨きをかけることになります。
次期会長については「次の世代に託したい」との意向を示していますが、羽生会長より年下の理事候補は千葉七段・瀬川六段・糸谷八段の3人に絞られます。実力的にも対外的なアピール面でも糸谷八段に期待したいところですが、まだまだ時期尚早か。あるいは清水女流七段を推す声も出そうです。
ヒューリックは東京・千駄ヶ谷の新将棋会館の建設を手がけ、また旧将棋会館の跡地を買い取っています。新聞社の力が弱まる中で、実にありがたいスポンサーです。次の100年を見据えるためにも、今後さらなるスポンサーの開拓が必要でしょう。
また、ヒューリックは昨年Bリーグ・アルティーリ千葉の筆頭株主となり、新アリーナの建設を予定しています。場所は幕張海浜公園のAブロックで、マリンスタジアムなどがある海側ではなく、JRの線路をはさんで反対側のエリアになるとのことです。
【おまけ】
先日、新将棋会館を訪れ、カフェ「棋の音」でカレーを食べてきましたので、写真を載せておきます。
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