【速報】FIFA、2026W杯で博報堂と交渉か。

東洋経済によると、FIFAが2026年ワールドカップの日本における放映権の代理店として、博報堂と交渉しているとのこと。


電通がFIFAの代理店から外されるという話は以前からあり、契約も前回2022年大会をもっていったん終了しているものと考えられます。そこまでは想定通りなのですが、その後釜が博報堂というのは意外でした。日本の広告代理店としては電通に次ぐ規模である一方、国際スポーツにおいては目立った実績がないからです。

FIFAと電通の契約が切れるという話を最初にお伝えしたのは2022年11月のこと。以下に紹介する記事は、当時有料だったため見出しレベルでしか分からなかったのですが、現在は無料でも読めるようです。


2026年、および2030年のワールドカップについて、FIFAはアジア向けの放映権を直販に切り替える方針を示しました。これにより、中央アジア・南アジアを担当してきた電通と、東南アジアを担当してきたinfrontが代理店から外されることになります。


電通と聞いて東京五輪の汚職を思い浮かべる方が多いかと思いますが、それより先にFIFAの思惑があってのことです。また、FIFAは前回カタール大会で十分な放映権料を確保できたとは考えておらず、電通の働きに不満を持っていたようです。「電通外し」の主な理由はこれらであり、汚職は副次的なものと考えてよいかと思います。

しかし、FIFAによる直販体制は充分な成果を出せていません。2023年の女子ワールドカップでは放映権販売に苦戦。そして、今年6月に開催されるクラブワールドカップにおいても、Appleとの交渉が破談となり、DAZNと契約。40億ドルを目論んでいた放映権料は10億ドルにとどまっています。


2024年6月、FIFAはinfrontと「セールスアドバイザー」という肩書で再契約を結んでいます。直販体制自体は変えていませんが、事実上代理店の関与を認めた形です。

日本における電通は、単なる代理店というよりもJC(ジャパンコンソーシアム)のまとめ役です。単に放映権を売ればいいというものではありません。テレビ局や配信業者との調整、そしてスポンサー探しも請け負い、一連の巨大ビジネスを成立させる役割を担ってきました。


2022年大会ではJCの体制が崩れ、ABEMAが参入しましたが、それでもまとめ役という立場は変わりません。電通が外れた時、それがどうなるのか。1社独占というシナリオは現実味がありません。放映権料は高止まりしてますし、FIFAが無料放送を完全になくすという選択肢はとらないでしょうから、引き続き複数の放送局に販売するのが現実的です。


複数社となれば、電通に代わるまとめ役が必要となります。FIFAが期待するのは、前回カタール大会では下がったとみられる放映権料を再度つり上げることです。

今回の記事でも、FIFAが開催したワークショップにNHKと博報堂が参加したという記述がありますので、NHKでも引き続き何試合かは放送されるでしょうし、広告収入を考えれば民放でも放送はあるかと思います。ただ、前回放送したフジテレビの体力が気になるところではあります。


記事にある通り、韓国では民放局のJTBCが独占契約を結び、直販モデルは成功したと思われますが、日本は日本で特殊事情を抱えており、博報堂が苦戦するのは分かっていることです。FIFA関係者の声として「電通が“うまくできるはずがない”などと横やりを入れているようだ」という記述がありますが、横やりなどなくとも、電通以外の業界人はそう思うのではないかと。

東京五輪の汚職により、電通は公共事業の入札から一時外されました。これについては博報堂も外されているので同罪なんですが、電通不在の間に国際的なイベントで混乱が生じていたのは、最近開幕した大阪万博を見ても分かる通りです。来年(2026年)に愛知県で開催されるアジア大会では、電通の辞退により地元系の代理店である新東通信などがマーケティングを担当しています。

電通の功罪はともかく、それに匹敵する存在が日本にいないことが大きな問題です。ですから、もし博報堂がFIFAとの代理店契約を取れるのであれば、短期的には混乱するでしょうが、長期的にはプラスになる話だと考えます。


もし交渉がまとまらなければ、FIFAは改めて直販に舵を切ることになりますが、東洋経済はこれを「残念なシナリオ」と評しているのが面白いところです。読者的には直販のほうがいいシナリオだと解釈する人が多そうですが、結果として大半の試合が有料化となってしまえば、観る側としては面白くない。記者の本音が漏れてしまった感じです。


まぁ、その場合はぎりぎりまで決定を延ばすことですね。放映権料の高騰を食い止めるには、結局のところ時間を味方につけるしかないのですから。

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