自転車ロードレース、安全と興行の改革なるか。
サイクルロードレースの世界は伝統的なよさがある一方、そのおかげで遅れている面があることは否めません。とくに「安全性」と「収益性」については改善が求められます。
先日行われたIOC会長選挙に立候補したことでも知られる、UCI(国際自転車連合)のラパルティアン会長はロードレースの速度を落とす対策を検討していると発言しています。その一案としてギア比に制限があがっており、近日中にも実際のレースでテストを実施する可能性があるとのこと。
機材の性能が向上し、ここ数年で全体の平均速度が上がっている一方で、選手たちは薄っぺらいスーツを着てレースを行っており、防具はヘルメットのみです。ヘルメットの装着が義務づけられたのは2000年代からであり、それまでは反対する選手も数多くいたとのこと。
とくに下り坂での死亡事故が多く、個人的には下り坂ではレースを行わないといった抜本的なルール改正があってもよいという考えです。また、バイクのようなプロテクターを義務付けてはどうかという意見もあります。こちらも重さや暑さ対策といった課題はありますが、そのくらいの改革が必要ではないかと。
収益面では、観客からの収入が得られないという欠点があります。それゆえに主催者は乱立し、放映権の一括管理もままならない状況です。
最近の工夫としては、スタートやゴール地点の付近に周回コースを設けることがあげられます。観客にとっては何度も選手が通過するのでお得ですし、主催者はその場所に有料席を作ることができます。選手にとってもゴール地点を事前に「下見」できるため、安全性の向上にも寄与します。
有力なスポンサーを得ることも重要です。もはやおなじみとも言えるサウジ資本をバックにつけた「One Cycling」というプロジェクトが昨年浮上しました。興行面ではツール・ド・フランス等の主催者であるASOが大きな影響力を持っていますが、One CyclingにはUCIや他の主催者も参画する可能性が取り沙汰されています。
なかなか続報がなかったOne Cyclingはいつの間にかイギリス・ネス湖の恐竜「ネッシー」に例えられるほど幻の存在となっていました。しかし、最近になって続報があり、今年のツール・ド・フランスが開催される前にも何らかの発表があるのでは・・・とされています。
ASOに対抗するためとはいえ、サウジという別の「怪物」を持ってこないといけないというのも若干皮肉めいたものがありますが、少しでもよい方向に進んでほしいものです。
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